リノベーションされてから数年経ったお宅の様子、気になりませんか。小さな頃から人のお家が大好きで、リノベーションも大好きなamaiは、取材でお施主様のお宅にお邪魔する度にそのお家が大好きになってしまいます。そこで、お伺いする度に何かがかわっているお施主様のお家を、皆さんに見て頂きたくて!不定期でホームページでご紹介しているお宅の「今」をご紹介していくことにしました。第1回目は、「素材を活かすリノベーション 贅沢なプランで快適なバスタイムを」のM様邸です。お伺いしたのは、2015年8月と、クリスマス直前の12月のある平日。お引き渡しからちょうど2年を過ぎたお宅にお邪魔してきました。
はじめに
キッチン周り、定点観測してみました。
2014年のキッチンは、こうでした
2015年のキッチンは、こうなっていました
ハンギングされた植物が増えた事に目を奪われますが、大きく変わったのは、カウンターの使い方。 元々椅子ではなく、床に座るスタイルがお好きだったこともあり、今はこのカウンターでは基本的に食事をとらないそうです。代わりに、DIYで作った大きなプランターや、雑貨小物をディスプレイ中でした。
簡単な食事を摂るために作ったキッチンカウンター。当初はカウンターの下にはそんなに物を置いていらっしゃいませんでしたが、「食事はこたつで」と決めた今は手作りのプランターを置く場所に。植物を元気に育てるために、時々バルコニーにある鉢植えと入れ替えるんですって。そんなこまめなお手入れが功を奏して、きれいな緑色でした。
キッチンの和箪笥はアンティーク調に
食器棚にしていらっしゃるのは赤茶色の和箪笥。2015年の夏には、アンティーク調に白くペイントされていて、がらりと雰囲気が変わっていました。えいやっと、大胆に。「本物のアンティーク家具なら、こうはできなかったです」と奥様。それは言えているかもしれません。リーズナブルなものを購入して、後で色を塗り替えてしまうという発想、いいですね。
どうしていつも片付いているの?
M様のお宅は、とにかくいつも片付いています。それは、リノベーションの専門誌のリライフプラスVol.20の収納に関する記事で取材を受ける程です。どうしたら、M様邸のように「いい塩梅できれいさを保てるのか」を収納を中心にしっかり見てきました。
収納上手の秘訣1.キッチンにパントリーを設けました
ペニンシュラ型のキッチンにして、後ろには手持ちの収納棚(さらにDIYでカスタマイズされていました)や箪笥を配置して、こだわりの調理器具をしっかり収納できるようにしました。さらに、リビングからは見えない位置に作ったパントリーには、単純に収納だけではなく、干野菜用のざるを吊るしている季節もありました。すみません、写真がなくて…。何か収納を作ったとかではなく、M様が元々お持ちだった棚が置けるような空間を、隠れた場所に作っただけなのですが、キッチンに「隠れ場所」があるって、いいなと思いました。私の家にはないので、そういう場合、常にきれいにしておかないといけない緊張感があるんですよね。
収納上手の秘訣2.大きなWICを作りました
玄関脇のひと部屋は、WIC兼奥様のアトリエです。このお部屋は2014年当時は撮影していなかったお部屋です。設計段階では、WIC兼納戸兼ご主人の書斎だった場所。住んでいるうちに、奥様のDIY熱が高まり、気付けばアトリエのような使い方になっていったそう。ミシンや木工道具などはここに保管。天井にぶら下がっているのは、元々こたつのやぐらとしてつかわれていたもの。2014年の時は、リビングで実際に使われていたものなのです。ペイントして、いい味が出てますよね。 この場所を、収納部屋としてだけではなく、アトリエとしても活用できたのは、窓があって、風が抜けるお部屋だったからかもしれません。
収納上手の秘訣3.小上がりの和室の下は、収納です
家づくりで参考にした本はありますか?
リノベーションの参考書は「和朗フラット四号館」
ざらっとした質感の壁を目指していた奥様に、ご主人が「こういうの好きじゃない?」と、さらっと買ってきてくれた本は、麻布狸穴町に現存する賃貸アパートの写真集でした。私、ここを内見した経験がありまして、お話に花が咲きました。
できたもの
理想の質感に仕上げた、壁。これはリビングの入り口にある収納の扉です。リノベーション施工の時には、模様を付けすぎて、塗り方に意図を感じさせないよう、M様、設計士、職人さんの三者で細かく打ち合わせをして仕上げました。
もう1冊、
「エイジングでつくるオールドテイストの家具と庭」(NHK出版)
エイジングされたような質感のものがお好きなM様。DIYで、色々と作る時に参考にしているのがこちら。どんな塗料を使うとか、塗り方も丁寧に書かれていました。
参考にして出来上がったものがこちら。和箪笥の上にディスプレイされていた植物の鉢等は奥様の手でリメイクされたもの。こってりと塗って仕上げてもよし、元の素材が見え隠れする程度にラフに塗るもよし、ですね。
できたもの
かわらないこと
色々と変化しているM様の暮らしですが、一方で変わらない事もありました。それが、M様の「おもてなし」。取材でお伺いすると、いつも奥様が手料理を振る舞ってくださるんです。それが、とても美味しくて、そして優しい味。お仕事でお邪魔していているはずなのに、帰る頃になると、友人の家に遊びにきたような気分になり、つい「またきまーす!」と言いたくなってしまうんです。 左が2014年の時、右が2015年の時。2015年の時は、自家製の梅干しやバラの寒天寄せなどなど…取材クルー全員が、一緒にこたつで手料理をいただくという、なんともほっこりした時間を過ごしました。器も、とても素敵ですよね。奥様が器好きでいらっしゃるのですが、実はそれはお母様譲りのご趣味で、ご実家にも秘蔵の器が沢山あり、自宅へ持ち帰ることもあるのだそうです。
最後に
M様のお宅を訪れる前まで、実はクールな空間なのだと思っていたのです。だって、引き渡しの時の画像を見ると、かっこいい空間に見えたから。…ですが、玄関ドアを開けた瞬間、それは大きな勘違いだったことが分かりました。確かに、コンクリート打ちっぱなしの部分が多く、全体的にハコ自体はグレイッシュなトーンです。でも、あったかいんです。それは、M様がリノベーションの際にこだわっていらっしゃった部分「仕上げ」に表情があることと、奥様が持つとっても柔らかな雰囲気がない交ぜになったからなのでしょうね。 M様、ありがとうございました。
2020年追記
2020年に訪れたM様邸の「今」を公開しています。
>>あの家の今|また会いたくなった<後編>