秀和レジデンスの壁に迫った前回(秀和レジデンスvol.1 ー 壁を6つのタイプに分類するー)に続き、
今回は、青い屋根、白い塗り壁、鉄製のバルコニーという3つの特徴のうちのひとつ、
「屋根」に注目してみます。
”秀和の屋根は青色?”
青い屋根が白い壁に映える秀和レジデンス。
まずは典型的な秀和を、いくつか見てみましょう。

屋根と入り口の瓦がともに青。
アプローチのタイルも現存で、壁のアイアンパーツもかわいく、さらに季節によっては薔薇が咲いていて、
「秀和レジデンスといえば!」という要素がたくさん詰まっている、正統派秀和レジデンスです。

エントランスの屋根には青い瓦が縦に6列並んでいて、存在感があります。
レンガが使われた門柱、裏へと続くアイアンの扉、エントランスアプローチのかわいいタイル。
バランスのいい秀和レジデンスです。

一見何の特徴もないような瓦屋根ですが、よく見ると瓦の色が水色に近い鮮やかできれいなブルーなのです。

エントランスの青い屋根の手前のアプローチに、立派な門がある秀和レジデンス。
門袖の上にも青い瓦の屋根が乗っていて、和と洋が混ざっているような印象です。
このように、秀和レジデンスの屋根の大半が青色。
でも、屋根の色は青だけ?
実は、様々な色の屋根があるのです。
「白」

前回も登場した、秀和麻布永坂レジデンス。すぐそばに高速道路が走っています。
屋根の色は白。初めて見たときには、秀和だと気付きませんでした。
入り口の屋根には青い瓦が使われていて、それを見ると、ああ、やっぱり秀和レジデンスだ!と納得。
白い屋根はすぐに汚れてしまいそうですが、印象的で、記憶に残る秀和です。
「黒」

綱町三井倶楽部越しに見える、秀和三田綱町レジデンスの塔屋。
大使館などや財界人の邸宅などが多数ある高級住宅地に建つ秀和レジデンス。
そんな落ち着いた街に合わせたのでしょうか。屋根の色は、シックな黒です。
「赤」

南青山の閑静な住宅街にある秀和青南レジデンス。
そびえ立つ階段室が、中欧の城を思わせます。
屋根の色は赤。遠くから見てもすぐにわかる、鮮やかな色です。青い瓦は塀に少しあるのみです。
「茶」

かなり初期に建てられた、秀和赤坂レジデンス。
どこにも青い瓦が使われていません。エントランスも茶色い金属製の屋根です。

こちらは、瓦が茶色のタイプ。
塀もレンガでできていて、秀和のトレードマークの青色が見当たりません。
バルコニーのアイアン、壁のコテ跡があっても、別のシリーズのマンションに見えますね。
「深緑」

以前は青色だったはずですが (秀和マニアこちらで確認できます。)深緑に塗り替えられていました。
もしかして、「深川森下町」から「深い森」を連想して、この色に塗り替えられたのでしょうか?
「緑」

屋根の色は青色ですが、入り口の瓦のみ緑色の秀和自由が丘レジデンス。
釉薬の加減なのか、瓦の緑色はきれいなグラデーションです。
壁の塗り跡も入り口の周りだけ落ち着いていて、こだわりを感じます。
「水色いろいろ」
時たま出会う、水色の屋根。
同じ青系でも、少し明るいとまた、印象が変わります。



ふたつ並ぶと、色の違いが分かりやすいです。
こんなに屋根の色にバリエーションがあるということ、知っていましたか?
分かりやすいものから、細かなものまで、様々な違いがあって面白いですよね。
次回は3つの特徴のうちの最後のひとつ、鉄製柵のバルコニーに迫ってみようと思います。
by yoko kawanishi instagram.com/lilycats25
河西葉子。『いいビルの世界 東京ハンサムイースト』を共同執筆した「東京ビルさんぽ」のメンバー。古い建物、とくに秀和レジデンスをはじめとしたヴィンテージマンションが好き。サイケデリックでキュートなスイーツを制作するpsychedelic sweets spicaとしても活動中。