秀和の細かいパーツを観察するシリーズ。
今回は、「秀和の金物」に注目します。
はじめに。
建物においての「金物」とは、建築物に取り付けられた、金属製の建材の総称です。
秀和レジデンスで一番目立つ「金物」のバルコニーは、すでに秀和レジデンスvol.3 で観察しましたので、
今回はその他の金物を見ていきたいと思います。
曲線の組み合わせ
これまでにスポットを当てて来たものと同様に、「秀和の金物」には様々な形のものがあります。
そしてそのほとんどに、かわいい曲線を見ることができます。
「面格子」
面格子とは、主に防犯のため、窓などの開口部に取り付けられる格子のことです。
秀和レジデンスの面格子は、防犯という役割に加え、装飾を兼ねて取り付けられているものが多いように感じます。
70年代の少女漫画に出てくるような、可憐で繊細な面格子。
建物名の書いてある照明も乙女チックですね。
三角帽子をかぶった小人が並んでいるのかな?不思議な形の面格子です。何だかイカにも見えます。
丸とS字の組み合わせ。じっと見ていると、メガネとヒゲの男の人のようにも見えてきます。
こちらもS字の組み合わせ。ハートがいっぱいです。
こちらのS字は、片側のカールが小さいタイプ。くっついた部分が、猫の口元みたいでかわいいです。
暗い時間だと、窓の明かりとの対比で、面格子の模様がくっきり見えて分かりやすいですね。
先がカールしている大きなCの字と、四角の組み合わせでできている、すっきりとした面格子。
「柵」
道路とエントランスアプローチを隔てる、大きな柵。
ハート型に見える部分だけでなく、上部にも波打つような装飾が施してあります。
まるで生い茂る蔦のような形。
燃える炎のようにも見えます。壁の塗り跡はかわいらしいのですが、柵には激しさを感じます。
模様に規則性がありません。もしかして一つ一つ、職人が金属のパーツを曲げて作ったのかもしれないですね。
駐車場と花壇とを隔てる、色、形共に、珍しいタイプの柵。
ミッドセンチュリー・モダンなデザインで、素敵です。
「アーチ門」
秀和のエントランスアプローチには、アーチがかかっている門がいくつかあります。
繊細なSの字とCの字の組み合わせです。アーチ門があると、一気に豪華になりますね。
こちらもS字とC字の組み合わせですが、線が太いため、力強く見えます。
上部は三田聖坂レジデンスのアーチと似ていますが、下部の土台が金属ではなく、モルタルとレンガの組み合わせでできています。それだけで、印象ががらっと変わりますね。
アーチと細かい装飾が、共に二重になっています。とても凝った作りです。
「ドア・扉」
ここでは、エントランス付近にある、金属製のドアと扉を集めました。
右側のドアは、金属製なのに木で作られたような型押し跡が見えます。
左側のドアは、模様の他に花のモチーフが付いていて、とてもかわいいです。
ヨーロッパの百合の形のエンブレムを彷彿とさせます。
南荻窪のものと比べ、模様が大きく、動きがあります。
ドア自体は直線でできていて、一見シンプルですが、さりげなくエンブレムが付いています。
防災ポンプを隠すために作られたであろう扉。格納庫の文字まで、装飾に見えて来ます。
駐輪場の扉です。S字が左右から立ち上がって行き、最後に真ん中でハート型になっています。
羽根を広げたクジャクにも見えます。
半地下の、専用庭へ下りるための扉のようです。
他の扉はシンプルなものに取り替えられていましたが、この一つだけが残っていました。
何をモチーフにしたものなのでしょうか?
「その他」
これまで述べた中では、分類できなかった金物を集めてみました。
ハートで飾られた、外階段の手すり。下部のなみなみ部分の片側が、一つ下がってしまっていますが、
使われてきた年月を感じて、それもまた愛おしいです。
咲き誇るバラに目がいってしまいますが、注目したいのは、右側の小さな装飾です。
換気口でしょうか?小さな穴を隠すように取り付けられています。
エントランスの壁に並ぶ、二本の槍のような装飾。
まるで直立不動で立っている、近衛兵のようです。
碇のエンブレムが壁に付いています。ヨーロッパの海辺に建つ、アパルトマンのよう。
壁の中にひっそりと佇む、かわいらしい装飾。
壁の補強のための金具が、花の形になっています。
良く見ないと分からない、こんな細かなこだわりを見つけると、嬉しくなってしまいます。
金物は、実用的な物も、どうしてここに?と思うような物も、共に独特の装飾によって、秀和らしさを感じられるものになっています。
面格子など、同じように見えても、どこかしら違いがあるので、それを探すのもまた楽しいです。
秀和レジデンスには、まだまだ紹介しきれないほどかわいい金物がたくさんありますので、ぜひ探してみてくださいね。