vol.1からvol.6までは、秀和レジデンスをまとまったパーツごとに観察して来ました。
今回はもっと近付いて、「さらに細かい部分」まで観察して行きます。
細部まで見られるこだわり
遠くから見ても特徴がたくさんあり、すぐにそれと分かる秀和レジデンスですが、
近付いてよく見てみると、こんなところにまでこだわっているのか、と感心させられる部分や、こんな面白い違いがあるんだ!と驚かされる部分がたくさんあるのです。
まずは、装飾から見て行きましょう。
「ステンドグラス」

エントランスの扉の上にある、大きなステンドグラス。
頂点が尖っているデザインで、まるで教会のようです。
玄関ホールの内側から見た、ステンドグラスから光が差し込む様子は、秀和マニア のサイトで確認できます。

今度は扉の上部ではなく、左右にあるステンドグラス。
青い瓦屋根との対比で、真っ赤な色のガラスが映えます。

太陽のモチーフのステンドグラス。
秀和のステンドグラスの中でも、何かの形を型どったものは、とても珍しいです。
光っている様子が見てみたいですね。
「エントランスのパーツ」

柵にお花のモチーフがあります。
第2南平台レジデンスのテーマは、「花」なのかもしれません。門柱の上にも、かわいらしい金属の花が咲いています。

門柱のモザイクタイル、アーチ頂点の金属の装飾、下部だけカーブしている面格子。
高樹町レジデンスのエントランスは、凝ったパーツばかりで見どころ満載です。
次は「文字」を見てみます。

エントランスの上部に埋め込まれた、かわいい文字。
アルファベットで建物名が記されている秀和は、いくつかしかありません。
レンガ調のタイルとの相性がとても良いですね。

桜丘レジデンスは、こちらの看板に書かれた文字もとってもかわいいのです。
SHUWAがSYUWAになっているところも、微笑ましい。

カタカナの書体に特徴があります。
おそらく、1950〜60年代に流行した、「レタリングによる角ゴシック体」が使われているようです。
当時、秀和レジデンスは時代の最先端をゆく、洗練されたマンションだったことが伺えます。

金属で作られた、立派なプレートです。
よく見ると文字の背景が、秀和の特徴の一つである、塗り壁の模様にも見えます。
次は「壁」です。
壁については、秀和レジデンスvol.1 〜 壁を6つのタイプに分類する〜 で、観察したのですが、
分類できなかった、気になる壁を集めてみました。
「ツートンカラー」

隣接しているビルがあるため、前面のみ塗装をしたのでしょうか。
修繕する前の壁との違いが、はっきり分かりますね。

壁の一部だけ、色が違います。
塗り忘れでしょうか?不思議な壁です。

こちらはツートンカラーではなく、「二種類の塗り模様」が、一度に見られる壁です。
見ての通り、上部と下部の模様が全然違います。
途中で職人が交代したのでしょうか。もしくは職人の遊び心なのかもしれませんね。
「壁プラス金物」

壁が大きくくり抜かれ、そこにレンガ調タイルと金物が施されています。
窓と壁がとても近いので、採光と通風のためにこのような形になったのだと思われます。
「壁の上」

秀和の壁には、一つ前の高樹町レジデンスのような青い瓦が一列に並んで乗っていることが多いのですが、日暮里レジデンスの壁には、並んだ瓦の上に、さらに冠瓦と呼ばれる瓦が乗っています。
違いが分かりますか?

こちらの写真の方が、感じが分かりやすいですね。
冠瓦が有ると、一気に和風の雰囲気になります。
「そんなところまで!」

壁の後ろ、控え壁と呼ばれる部分にも、きっちり模様が出るように、モルタルが塗られています。
外部からは見えない部分ですが、職人の丁寧な仕事ぶりと、妥協しないという意気込みを感じます。
「その他、それぞれのこだわり」

グレーの色ガラスとシェル模様のドアハンドルが特徴的です。はっきりとした色のアプローチタイルとも、とても合っています。
タイル、扉、共にリノベーションされてしまっている秀和が多い中、おそらく建てられた当時のまま残っているエントランスは、とても貴重です。

秀和の青い瓦屋根に合わせたのでしょうか。敷地内にある、花壇を飾るタイルの青が目を引きます。
釉薬の感じもそっくりです。

赤い屋根と、円柱型の階段室に目が行きがちですが、注目して欲しいのは、窓の柵を挟んでいる、突き出た壁です。
まるで、小さな手で一生懸命支えているように見えますね。

螺旋階段の支えが、面白い位置に付いています。
壁にL字型の支えがあり、そこに階段を乗せるようにして取り付けられているのが分かりますか?
同じ秀和でも、見る角度を変えるたびに新しい発見があります。
秀和レジデンスを見かけたら、ぜひいろいろな角度から観察してみてください。
そして細かなこだわりを探してみてくださいね。