# マンション管理 # 中古マンション # 修繕積立金 # 基準額 # 管理費 # 高い
中古マンションを探していると相場よりお手頃な物件が見つかることがあります。ただよく見ると修繕積立金の額が高額で全体のランニングコストで考えると結局変わらない…、あるいは自主管理の物件で修繕積立金という費用自体がなくてちょっと不安…、という物件に時々出会います。「マンションは管理を買え」という言葉があるように管理や修繕はマンション選びの際にとても大事な要素です。
ここでは国土交通省が公表しているガイドラインや、EcoDecoがお客様にご紹介する物件を日々探す中で感じている傾向をご紹介させていただきます。
<本記事は2023年11月13日に内容を更新しました>
共有部分の光熱費や管理人の人件費など、比較的短いスパンで必要なマンションの経費
将来予想される修繕工事に要する費用を、長期間にわたり計画的に積み立てていくもの
このように管理費・修繕積立金共に、マンションを長期間にわたり良好な状態に維持していくために必要なものですが、それぞれのお金が必要となるタイミング・用途の違いに合わせて2種類に分けて徴収する形が一般的です。マンションによっては管理費の余剰金は修繕積立金に充当しているケースも見られます。
マンションによって仕様や設備のグレードや築年数、敷地の条件などバラバラなので、一律に修繕積立金は「〇〇円であるべき」といった共通の規定を全てのマンションに設けることは難しいのですが、国土交通省が2023年に発表した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を見て見ましょう。修繕積立金の目安の算出式が掲載されています。
参照元 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和3年9月改訂令和5年4月追補版)
この資料を読む上での注意点
本ガイドライン中にも記載がありますが、「建物の規模以外の変動要因を考慮したものにはなっておらず、ここで示される平均値や幅に収まっていないからといって直ちに不適切であると判断されるものではないこと」にご注意ください。
また本調査のサンプルとなるマンション366事例の選定基準は以下のものです。
つきましては、自己の居住用ではない投資用のマンションや、複数の棟からなるマンションの場合は、本ガイドラインをそのまま適用するのは難しくなるという点もご注意のうえご覧ください。
Y=マンションの修繕積立金の額の目安
A=専有床面積当たりの修繕積立金の額(下表)
X=購入予定のマンションの専有床面積(m²)
B=機械式駐車場がある場合の加算額 (ない場合は算入不要)
階数/建築延べ床面積 | 平均値 | 事例の2/3が包含される幅 | |
15階未満 | 5,000㎡未満 | 335円/㎡・月 | 235〜430円/㎡・月 |
5,000〜10,000㎡未満 | 252円/㎡・月 | 170〜320円/㎡・月 | |
10,000〜20,000㎡未満 | 271円/㎡・月 | 200〜330円/㎡・月 | |
20,000㎡以上 | 255円/㎡・月 | 190〜325円/㎡・月 | |
20階以上 | 338円/㎡・月 | 240〜410円/㎡・月 |
補足 15階以上20階未満のマンションについて
本資料中に以下の記述があります。「特別避難階段等の設置が義務付けられる15階~19階のマンションについては、供給量が少なく、目安算定に用いる事例も十分でなかったため、【15階未満】の目安として示しています。なお、15階~19階のマンションの目安については、【15階未満】の目安と【20階以上】の目安との間に収まるものと考えられます。」
ここから読み取れる全体の傾向としては
EcoDecoスタッフも実感としてこの傾向を感じています。本ガイドラインの調査対象は単棟型のマンションのみですが、特に多くの棟からなる大規模なマンションは築年数が経過しても修繕積立金が抑えめな傾向があるようです。ただし規模が大きいマンションの内、充実した共用設備(例えばプールなど)を備えたマンションは上記の例外と言えるように思います。ランニングコストの安さを好ましさとして考え規模のメリットをそちらに配分するのか、その分の費用をグレード感のある仕上げや設備に費やすことを好ましさと考えるのか、一概にランニングコストがやすいことだけがメリットとは言えませんのでそのマンションの計画がされた時代の考え方や住人の方々の考え方が現れてくるところかと思います。
こちらに関しては同ガイドライン中にも記載がありましたので引用します。
超高層マンション(一般に20階以上)は、外壁等の修繕のための特殊な足場が必要となるほか、共用部分の占める割合が高くなる等のため、修繕工事費が増大する傾向にあることから、【20階以上】の目安を分けて示しています。
比べて見ると低層のマンションはやはり修繕積立金が抑えめだと感じます。比較の対象として極端すぎるかもしれませんが、顕著なのは低層でさらにエレベーターの無いマンションです。以下に同ガイドライン資料編の中にある「収集した事例の長期修繕計画の修繕工事費の割合の内訳」を引用しますが、このグラフを見るとそういったマンションは修繕費の約4.3%を占める昇降用設備(エレベーター等)が無いだけでなく、やや築年数の経過したマンションも多く現在と比べ共用部もシンプルな作りになっているケースが多いように思えます。
また機械式の駐車場は建物の延べ床面積に関わらず、計算式の中で別の要素として扱われていることに関しては資料中に以下の記載があります。
マンションに機械式駐車場がある場合は、修繕工事に多額の費用を要 し、修繕積立金の額に影響する度合いが大きいことから、機械式駐車場に係る修繕積立金を特殊要因として別に加算することとしました。
ランニングコストという側面から見ると機械式の駐車場のコンパクトな敷地に多くの車を止めることができるメリットだけでなく通常のメンテナンス+αの費用がかかるという側面があるようです。駐車場が機械式のマンションをご検討される場合はどちらの面も考慮してみてください。実際にEcoDecoのお客様が購入をされたマンションでは稼働率の低かった機械式駐車場の今後の維持費と解体費とを比較して、撤去を選ばれたマンションもありました。具体的にガイドラインで示されている機械式駐車場の加算額は以下の通りです。
機械式駐車場の機種 | 機械式駐車場の修繕工事費 (1台当たり月額) |
2段(ピット1段)昇降式 | 6,450 円/台・月 |
3段(ピット2段)昇降式 | 5,840 円/台・月 |
3段(ピット1段)昇降横行式 | 7,210 円/台・月 |
4段(ピット2段)昇降横行式 | 6,235 円/台・月 |
エレベーター方式(垂直循環方式) | 4,645 円/台・月 |
その他 | 5,235 円/台・月 |
※「機械式駐車場の1台あたりの修繕工事費」は、収集した長期修繕計画の事例(117 事例)から算出した数値(5円単位で表示)です。 ※機械式駐車場には、屋外・屋内、地上・地下等の様々なタイプがあるため、修繕工事費は個別性が強いことに留意しつつ、適宜ご参照ください。
目安の平均値 70m²×271円/m²・月 = 18,970 円/月
目安の幅(事例の3分の2が包含される幅)
70m²×200円/m²・月 = 14,000円/月 から
70m²×330円/m²・月 = 23,100円/月 まで
購入しようとするマンションに、2段(ピット1段)昇降式の機械式駐車場が60台分あり、購入を予定する住戸の専有床面積が70 m²、マンション全体の専有床面積の合計が 7,000 m²(負担割合が70/7000)の場合、 6,450円(月額修繕工事費の目安)×60台 × 70/7000 =3,870円 となります。
このモデルケースのマンションの場合月々の修繕積立金の目安を平均値に機械式の駐車場の加算額を加え、18,970+3,870=22,840円となります。
修繕積立金とその計画の元となる長期修繕計画には、住人の方々がそのマンショの今後をどう考えているかが現れるとても大切な資料だとEcoDecoは考えています。国土交通省の資料を参照しているとは言え、資料のない部分はところどころEcoDecoの主観に基づいていている記事ではありますが、実際にご検討される物件の参考となるようでしたら幸いです。
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