ファミリー/81㎡以上
東京西部の府中市にお住まいのU様ご家族。図面を見て一目惚れした物件を内見する直前にお子様が授かり、物件購入から引越しに至るまでほぼご主人お一人で進められたという、かなりタフなご状況でのリノベーションでした。そんなご苦労の末に完成したお部屋は、ご夫婦の高いセンスとモノに対する愛情が隅々まで詰まった空間。設計を担当した小林と共に、家づくりやモノ選びに対する考えを伺いました。
ー お邪魔した瞬間にお部屋の完成度の高さにびっくりしました!
ご主人:家具も小物もほとんどが賃貸マンションに住んでいた時から持っていたモノばかりで、引越しを機に買ったわけではないんです。
奥様:ずっと使えるモノを買いたいと思っているので、引っ越してから買ったのはソファと棚くらいかな。
ー そうなんですね。このお部屋はお二人がご自身で見つけられたんですよね?
奥様:はい、特に家を買うつもりではなかったですが、私の勤務先が南武線沿線に変わる可能性があったので、なんとなく物件をチェックしていた時に見つけました。
ご主人:当時はまだ前の住人の方が住んでいたので、1ヶ月後に内見のアポを入れたところ、その間に妻の妊娠が分かりまして。
奥様:妊娠がわかった時からドクターストップで外出ができなくなってしまいました。私としてはエントランスの写真と間取り図でビビッときていたので、内見は主人を信頼して任せました。
ー EcoDecoとの出会いはどのタイミングだったんですか?
ご主人:購入前にプロの方にも見ておいてもらいたかったので、内見日までの1ヶ月間で相談するリノベーション会社をいくつか調べました。その中で一番気になったのがEcoDecoさんでした。特に「スタッフamaiの家づくりと日々の暮らし。」はリノベーションの大まかな流れを理解できて勉強になりましたし、事例紹介を見ていてもどれも素敵でグッときました。
奥様:いろいろなサイトを見ましたが、EcoDecoさんを超えるものはなかったです。
ー 最初はリノベーション相談で来訪してくださったんですか?
ご主人:そうですね。その時に、この部屋の隣駅の物件も紹介してくださいました。
小林:後日、ご主人と2人でその物件を内見して、その足でここも見ましたよね。非常に気に入っていらしたものの、元々家を買うつもりではなかったのでどうしようかと困っていらしたのを覚えています。
▷玄関ドアを開けると、正面に見えるのは以前からお持ちだった古家具です。
▷玄関土間には、ロードバイクが収納されていました。奥にあるのは玄関収納のスペース。
ご主人:新築の家を買うよりも、古い家を買って自分たちの思い描くイメージに作り直していきたいなと漠然と考えてはいましたが、子供も授かって、いい家も見つかって、いろいろなことが一気に押し寄せたので、少しテンパっていました(笑)。
奥様:でも、2回目に小林さんと一緒に見て「いい物件ですね!」と太鼓判を押してもらえて迷いがなくなりました。実際にリノベーションをするとしたらどんなことができそうかアドバイスもいただけましたし、もしかしたら何か問題があるかもしれないという不安も拭えたので、小林さんと内見できたのはよかったです。
ご主人:私たちがいいなと思っていた部屋を小林さんにもいいと思ってもらえて、これ以上うれしいことはなかったですし、「絶対にいい家ができる」と確信ができて、購入の大きな決め手になりました。
奥様:主人から話を聞いてその確信が私にも伝わってきましたし、実際にお会いして「この人に任せていれば間違いないかな」と感じることができました。
ー 小林さんがこの物件をいいと思ったポイントは?
小林:今の新築マンションは、できるだけ南向きの部屋をたくさん作るために、長方形の短辺に窓があって、長辺は全部壁というのが一般的です。一方でこのマンションは窓も多いですし、中庭もあれば天窓もあって、替えの効かない価値がたくさんありました。設計の観点からは、壁式構造で厚みのある躯体にも迫力がありそうだったので、すごいのが出てきたぞ!と興奮しましたね。
▷フリースペースの天井から、屋上に出るための階段を引き出しています。
奥様:リビングとベッドルームの間が今はフリースペースになっているんですが、そこの天窓から屋上にも出られるんです。
ー おもしろい!ハシゴが降りてくるんですね。
奥様:駅から近いのに周辺環境も静かですし、いろいろな条件を鑑みても、他にこんな物件は見つからないと思います。
▷マンションの中庭の様子。木々が植えられ、季節感が感じられるステキな中庭です。
ー街の雰囲気はいかがですか?
ご主人:このマンションありきで、街の雰囲気に自分たちが順応していっている感じはしますね。だから、もしこのマンションが府中市や駅の近くになくてもたぶん買っていたと思います。
奥様:京王線に乗れば1本で高尾山にも行けますし、多摩動物公園は年間パスポートを買ってしょっちゅう遊びに行っています。緑道も整っていて近くに大きな公園もあるのでお散歩するにはもってこいですね。
▷土間キッチン。迫力があります。
ー 築35年ですと古くからお住まいの方も多いですか?
ご主人:世代は幅広いですね。80代のご夫婦から大学生のお子さんがいらっしゃるご家族、私たちと同世代も3〜4組いらっしゃいます。
奥様:20世帯で皆さんの顔がわかるので、安心して暮らせますね。
小林:先ほどお部屋にお邪魔する直前、通りがかった住人の方がエントランスに落ちていたゴミをさっと拾っていかれたのが印象的でした。
ご主人:そういう心がけはここに暮らすみんなにあるように思います。植栽もたくさんあって新緑の頃は見事ですよ。
奥様:私たちの部屋は3階なんですが、バルコニーのところまで緑が伸びてきれいで、夏は日よけにもなって気持ちいいです。
ー 家づくりはどんなふうに進めていったんですか?
奥様:二人でノートを作って「キッチンの造りはこうしたい」とか、イメージを絵に描いたりしていました。絵にするとお互いの認識を共有できるので話し合いやすかったです。
ご主人:家全体に収納をほとんど作っていないので、今ある棚やボックスをできるだけ有効に使えるように、どこに何を収納するのか絵に描いて計画したりもしました。
奥様:他にも、自分たちの方向性や好きなものの再確認をするために、いろいろな雑誌を二人で見て、好きなページに付箋をつけていきました。
ご主人:私は青、妻は赤の付箋を貼って、お互いに一致した画像やページを小林さんにお見せしてイメージを伝えましたね。私が特に気に入っていたのは船の写真でした。
▷打ち合わせの際にご持参いただいた雑誌。船上で自分らしく、モノを大切にしながら暮らしている様子がうかがえる。
奥様:イギリスの川に船を停泊させて住居にしている男性の記事があったんです。ひとつひとつのモノが本当に大切に使い込まれて味が出ているというか、モノが醸し出す空気感がすごく良くて。私たちも今持っているモノは一生大切に使っていきたいと思っているのでシンパシーを感じました。
小林:お二人のお話を伺っていると、作り込み過ぎないほうがいい印象を受けました。以前のお住まいにもお邪魔したんですが、すでに暮らしを楽しまれていたのでリノベーションをするからといって足し算はしなくていいのかなと。この家の素材を活かしながら住んでいただくにはどうすればいいかを考えました。
奥様:小林さんの最初の提案に「スタンダードを容れる器」というコンセプトの、シンプルなプランがあったんですが、それを見て「まさにこれが言いたかった!」と納得しました。
ご主人:言葉で表現するのが難しかった私たちのイメージを、小林さんが言語化して引き出してくれたよね。
小林:どこかに特定の到達点があって完成するわけじゃなく、ずっと暮らしを楽しんでいかれるための容れ物になればいいなという思いがありました。
ー 家のすみずみまで素敵ですが、やはりこのキッチンは迫力がありますね。
ご主人:遊びにきた友人にも驚かれます(笑)。
奥様:この長さのオープンキッチンはなかなかありませんよね。床をモルタルにしたので水や油のハネもあまり気にならなくて掃除も楽ですよ。
小林:塗膜をしっかり塗っているのでコンクリートのざらっとした質感もなく、手で触っても滑らかですよね。
▷キッチンとパントリーの間にあるのはのれん。山内染色工房の山内武志さんによるものだそう。
ー 土間はパントリー、玄関にも続いているんですね。
奥様:ベビーカーの出し入れも、玄関からパントリーへの導線も便利です。パントリーは冷蔵庫が隠せたのもよかったですね。
ご主人:パントリーは白い壁を作ったくらいで、もともと持っていた棚をそのまま使って収納を作っています。
ー 家づくりで迷った部分はありましたか?
奥様:打ち合わせ時の要望を全部盛り込んだ最初の見積もりが、予算より500万円くらいオーバーしていたので、何を削るかは一番迷った部分でした。
ご主人:当初キッチンの床はリビングと同じフローリングにする予定だったのを土間にしたり、浴室をユニットバスにしたりしたのは大きくカットできた部分ですね。洗面台や浴室部分も最初は壁とスライド式の扉を付ける予定でしたが、最終的にオープンにしました。
ー 水回りがオープンなのはユニークですね。
奥様:予算面だけじゃなく、扉を取ればスペースも広く使えるのがいいかなと。カーテンレールを付けてあるので隠すことも可能です。
ご主人:打ち合わせをしていると「あれもほしい」「これもほしい」とやりたいことが増えてきて、いろいろと入れ込んだものの、予算オーバーで結局全部削っちゃいましたね。今振り返ると、小林さんは最初からなんとなくそうなることを想像していたんじゃないかという気がしています(笑)。
奥様:最初に立ち戻って「スタンダードを容れる器」になりましたね。これから子供の成長とともにライフスタイルも変わっていくでしょうし、住んでいくうちにいろいろやりたいことも出てくるので、これでよかったと思います。
ご主人:こうしておけばよかったと後悔している部分は全然ないですね。
ー 洗面台は他の空間とは違ってインダストリアルな雰囲気がかっこいいです。
ご主人:蛇口はgeneral viewというオンラインショップで買った海外製のものです。サンワカンパニーやTOTO、IKEA、パシフィックファニチャーサービスのパーツを組み合わせています。
▷ベッドルームは窓が二面あり、太陽光のさしこみ方がとても美しかったです。
ー お二人の目利きが光りますね。奥のベッドルームは、光の入り方がきれいで、ゆったりとくつろげそうです。
奥様:造作はキッチンだけで、寝室にもクローゼットを作っていません。将来的にこのベッドルームは子供部屋にしたいと思っています。真ん中で二つに区切ることができるので、2部屋作ってもいいですし、半分はクローゼットにするのもいいかなと。
ご主人:私は寝室の引き戸がとても気に入っています。
ー ご自宅で過ごすことの多い場所はやはりリビングでしょうか?
ご主人:そうですね。私はいつもソファでのんびりしています。
奥様:日向にいると冬でも暖かいので、午前中はフリースペース、午後はリビングと太陽の動きに合わせて、子供と一緒に移動しながら遊んでいることも多いです。
ー リビングの三角の出窓も素敵ですね。
ご主人:キッチンの棚と同じ素材を使っていて、ここの木の断面もお気に入りです。キッチンの上段の棚は、棚受け(ブラケット)を作らずに壁にそのまま差し込んでいるようにしてもらったのがこだわりです。
奥様:最初は工務店の方から「そんなことはできない」って言われていたんですが、「やり方を見つけた!」と実現してくださって。私たちのリクエストを覚えていてくれたのがうれしかったですね。
小林:躯体がとてもきれいだったので、そこにブラケットを付けるのはもったいないという私たちの思いを汲んで、工務店さんが海外の事例を調べて実現してくれました。
▷今は赤ちゃん連れのご友人が来た際に、ここで遊んだりするそう。ちなみに、窓は断熱を考慮してリノベーションで二重サッシにしました。
ー ここに暮らしてまもなく1年ですよね。変わったことはありますか?
ご主人:部屋の広さは倍になりましたが、置いてあるものはあまり変わらないですね。
奥様:子供が授かったタイミングと重なっているので、そういう意味での変化はありましたが、基本的にはあまり変わっていませんね。ごはんをお鍋で炊くようになったくらいかな。キッチンカウンターに炊飯器を出したくなかったので、試しにお鍋で炊いたらおいしくて!
ご主人:それを義父からもらったおひつに移し替えると時間が経ってもおいしいんですよ。
奥様:何のテクニックもなしにパラパラチャーハンが作れるようになりました(笑)。
ー 今後はどんなふうにしていきたいですか?
奥様:イメージとしてはモノありきかな。ここにこういうものがあったらすてきだなって思えるものに出会ったら、それに応じて変えていこうかなと。当面は子供も小さいので、このフリースペースには自由に遊びまわれる空間を作ってあげたいですね。ただ、ここに合う照明がまだ見つからなくて。徐々にいいモノを集めていけたらいいなと思っています。
ー なるほど。リビングの照明はすごく個性的ですよね。
奥様:あれは前の住人の方が使っていたものを譲り受けて使っています。
ご主人:リビングのカーテンも前の方が使っていたものです。
ー そうなんですか!モノを選ぶ視点が本当に素敵で、見ているだけでとても楽しかったです、今日はありがとうございました。
お邪魔したスタッフ皆が惚れ惚れしてしまうほど、素敵なお住まいだったU様邸。EcoDecoで開催したコーヒーセミナーに参加していただいて以来、ご主人はコーヒーの焙煎も趣味のひとつとなったそうで、リノベを経てさらに日々の暮らしを楽しんでいらっしゃる様子も伝わってきました。今後もお子様の成長やモノとの出合いによって、いっそう家の味わいが深まっていきそうです。
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