二人暮らし/71〜80㎡
ご夫婦共にフリーのクリエイターという後藤様ご夫妻が選んだのは、土地勘のある五反田の閑静な住宅街に佇むヴィンテージマンション。家は「住まい」であり、「オフィス」でもあるというご夫婦ならではのリノベーションの工夫と過程、そして今の暮らしについて伺いました。
リノベ済みマンションを見ていたのですが、物足りなくなって自分達でリノベをしようと思って訪ねたのがEcoDecoさんでした。訪ねた当日に物件を紹介してくださったスピード感や、的確に物件の難点を指摘してくれたところもよかったです。結果的に一番最初に内見した物件を購入することができました。
ー LDK全体が広くてすごく開放感があります。奥のベッドルームまで繋がっているんですね。
ご主人:他はコンパクトでいいので、リビングをドーンと広くしたかったんです。そうしたら担当の小林さんが、私たちが想像していたよりもドラマチックな図面を提案してくださって。
小林:解体前から玄関から入ったとき奥に見える緑がきれいだったので、大きなワンルームのような作りにして抜け感が出るように意識しました。
ご主人:全体的に窓の多い部屋なのでその構造がいきているなと。仕事をしていても、家事をしていても、ふと顔を上げると、目線の先には空が広がっているところが劇場型というか。キッチンからワークスペースまでつながったモルタルの空間は妻のスペースですね。
▷LDKの中でキッチンの存在感が大きくなりすぎないよう、キッチンの床はリビングより一段下げています。
ー キッチンが一段下がっているのですね。
小林:キッチンが大きいだけに、床に段差がないと存在感が出すぎてしまうんです。窓からの空や緑がきれいに見えるよう、できるだけ部屋全体に高さのあるモノは作らないようにして、ベッドなど視線から逃したいモノは低くしています。壁に絵を飾りたいと伺っていたので、絵をより大きく美しく見せることも考慮しました。
ご主人:空間の中に視線を遮るモノがないのはいいですよね。キッチン側はモルタルとコンクリートの躯体表しで、リビング側は白を基調にして、リビングダイニングの両サイドで雰囲気を変えているところも気に入っています。
ー キッチンに立つのは奥様のほうが多いですか?
奥様:そうですね。オーブンを新しく買ったのもあって、ここに引っ越してからはお菓子を作ることも増えました。今はシュークリーム作りにハマっています。お菓子作りって使う道具が多いので作業スペースが広いと便利ですね。
▷手前の椅子が奥様のワークスペース、奥が「漫画喫茶」をイメージしたご主人のワークスペース。
ー 仕事と家事、ON/OFFの切り替えはどのように?
奥様:パソコンで仕事をしながらキッチンで煮炊きをしたり、作業の合間に洗濯をしたり、切り替えるよりも両方を同時にするほうが、私には合っているなと。わざわざ仕事用の部屋は必要ないなとも思っていたので、キッチンからつながっているワークスペースをお願いしました。
ー なるほど。ご自宅で一緒にお仕事をすることは?
ご主人:時々ありますが、基本的にはタイミングはズレています。キッチンの奥にあえて小さく作った書斎が私のワークスペースです。ここで構想を練ったり、作業をすることも多いです。漫画喫茶をイメージしているので、椅子はリクライニングチェアになっています。
奥様:デスクは、もともと使っていたテーブルの天板だけ持ってきて差し込んでもらったんだよね。
ご主人:天板の貼り合わせが気に入っていたので既存利用しました。
▷一般的な幅の1.5〜2倍あるフローリングはおおらかな雰囲気。広いリビングとも相性ぴったりです。
ー このソファも素敵ですね。
ご主人:リビングに合う、何か素材感があるようなソファを探していたのですが、なかなか見つからなくて。小林さんから木を粘土のように扱うという島根県の職人さんを紹介してもらい、オーダーメイドで作っていただきました。
奥様:一枚板の表面の質感がいいですよね。でも、見積もりの段階で予算オーバーで…。とはいえ、この木で作った素敵なソファのイメージを見てしまっているので、他の既製品を見てもう心が動かなくて(笑)。コの字型の予定だったフレームをL字型にしたりと、予算を少しずつ削って実現しました。
ご主人:木とファブリックだけだと、少し味気ない気もして黒い金属の足をつけてもらいました。引っ越して1ヶ月くらいはソファがなかったのですが、これを置いたら一気に家らしくなって全体が落ち着きましたね。
▷ファブリック、木、アイアンと異素材を合わせた大きなソファはリビングの主役です。
奥様:今はソファで過ごしている時間がいちばん長いですね。私はだいたいここでお昼寝をしています。L字型にしたおかげで手前から飛び込むようにして寝転べますし、クッションを2個重ねると寝心地がいいんです。
ご主人:正直、ベットより寝やすいかもしれない(笑)。
▷話に出てきている「照明」はソファの上にあるアーム型のもの。可動式で位置や角度を変えられる。
ー この照明も引っ越してから付けたのですか?
奥様:これは小林さんからの提案ですね。
ご主人:この辺りは壁が少し斜めになっていたり、小林さんのこだわりが詰まっています。
小林:斜めにすることで梁を中に入れられてすっきりするのでご提案しました。
ご主人:僕らは図面が読めないので「ここはなんで斜めなんだろう?」「ここはなんで段差なんだろう?」って、そういう小林さんの提案に毎回すごくわくわくしました。
奥様:私は平面図から空間を想像することが難しくて、小林さんに参考画像を見せてもらってイメージを膨らませていました。お風呂場の壁を凹ませてシャンプー類を置くスペースを作ったのですが、あれもなかなかイメージができずにいたら、夫が「こういうことなんじゃない?」と絵を描いてくれたこともありました。
▷リビングに面した窓の壁面は斜めにすることで梁をすっきりと覆っています。
ー ところで、リノベを考えられたきっかけは?
奥様:当時は築浅の綺麗なタワーマンションに住んでいたのですが、なんとなくその“綺麗な家”に自分たちが合わせているような感覚があって。
ご主人:部屋もキッチンもお風呂もすべてが出来合いのもので、なんだか気恥ずかしいような感じもありましたね。
奥様:一方で、夫の実家は義母が設計を手掛けたすごく素敵な家で。そういう家を見ているうちに自分たちでカスタマイズをするのっていいなと思うようになって、リノベ済みのマンションを調べるようになりました。
ご主人:そこからリノベ済みの物件を毎日たくさん見ていたら、今度は「このキッチンは自分たちの趣味とは少し違うなぁ」という気持ちが芽生えてきて。
奥様:リノベ済み物件じゃ満足できなくなってきちゃったんだよね(笑)。そこからいろいろなリノベのサイトを探すようになって、夫がEcoDecoのホームページを見つけて。「今日これからお伺いしてもいいですか?」っていきなりメールをしたんです。たまたま小林さんがいらしたのですぐに応対してくださったのですが、たぶん最初はすごく驚かれたと思います(笑)。
小林:むしろタイミングよく出会えてよかったです。
▷メインの廊下とは別の動線も設置。玄関から靴棚、パントリー、キッチンへと繋がっています。
▷玄関にも大きな収納を設けた。
ご主人:それまでリノベに関する知識がほとんどなかったので、まずは話を聞けたらいいなと気軽な気持ちでお邪魔したのですが、その場で物件を探してみましょうという流れになって。小林さんのその物腰の柔らかさや雰囲気の良さに乗っかっているうちに、そのままここまで進んじゃいました(笑)。
奥様:実は、小林さんと一番最初に内見したのがこのマンションでした。私たちから相談した物件もありましたが、小林さんが、私たちにはなかった視点で的確に難点を指摘してくれたので、だんだん候補から外れて、やっぱりこの物件がいいなと思うようになりました。
ー 難点というのは?
奥様:たとえば、学芸大学に良さそうなマンションがあったのですが、修繕積立費が異常に安いので少し気をつけたほうがいいかもしれませんと言われて。築年数の古いマンションを買う場合は、建物を維持していくための修繕積立費の計画や運用方法も確認して、将来のことを考えていくのも大事なんだと知りました。
ご主人:私たちが「この物件は広くて間取り的にもいいんじゃないかな」と思った物件も、よくよく見ると「管理人さんがいそうにないな」とか「木が全然手入れされていないな」とか、最初はわからなかった部分が見えてきて。「やっぱり最初のところが一番よかったね」という結論に至りました。
奥様:そうそう。ただ、駐車場代やトランクルーム代が含まれているというのもあって、共益費と修繕積立費がけっこう高かったので、いったん保留にして他の物件を見ていました。でも、だんだんその金額に納得できたというか。築50年近いマンションですが、私たちが購入する2年くらい前に大規模修繕をして外壁をきれいにしていたり、入り口の中庭も改修されたりしていたんです。そんな直近で大規模修繕をしているということは、住民の皆さんが「これからもここに住んでいこう」という気持ちなんだなと。最近も宅配ボックスが新設されて、住民の方と「これも資産だよね」と話していました。
▷寝室には南と東の2方向に窓があるので朝日がたっぷりと差し込みます。窓の外には豊かな緑が広がります。
ー ここに住んで暮らしに変化はありましたか?
奥様:窓が多くて陽射しが明るいので、早起きになりました。夜もすぐに眠くなるようになりましたね。特に寝室は窓が南側と東側についているので、朝はすごく気持ちいいです。
ご主人:前の家は寝室に光が射さなかったからね。小林さんの提案で寝室を壁で区切らなかったので、寝室にある南の窓からもリビングに光が射し込んでよかったです。
奥様:あとは朝風呂も気持ちいいです!私はもともとお風呂が好きで1日に2回入っていましたが、あまりお風呂が好きじゃなかった夫も変わりました。
▷光が綺麗で気持ちの良い浴室。ご主人がお風呂好きに変わったとおっしゃるのも納得です。浴室はハーフユニット。予算を抑えながらも海外のホテルのような洗練された空間に仕上げました。
ご主人:温泉は好きなのですが、自宅のお風呂ってただ体を洗う場所って感じがしてちょっとつまならかったんです。開放感のある浴室になったおかげで、今は朝は窓を開けて入ったり、夜はキャンドルを灯して音楽を聴いて入ったりと、以前からは想像もつかないくらいにお風呂が好きになりました。
ー 黒のシャワーが素敵ですね。
ご主人:海外出張で泊まったホテルのシャワーを参考にしました。
奥様:一般的には「シャワー」と「カラン」の組み合わせが多いと思うのですが、これは固定の「シャワー」と手持ちの「シャワー」の組み合わせで、カランがないんです。夫は上から浴びるのが好きで、私は自分で当てたいところに当てたいので、お互いの使い勝手にも合っています。
ー 浴室横にクローゼットがあるのは着替えの動線を考慮してですか?
奥様:着替えよりも洗濯と収納の動線ですね。以前の住まいは脱衣所に洗濯機があったので、洗濯が終わったらベランダに運んで干して、取り入れたら畳んでそれぞれの部屋のクローゼットに持って行ってという流れだったのですごく面倒でした。仕事が忙しい時には「なんでこんな面倒なことをやらなくちゃいけないんだ!」と思うこともあって。それが今は洗濯機から出したら隣の浴室で干して隣のクローゼットにしまえるので、ほとんどストレスがなくなりました。
ご主人:最初は、水場からクローゼットが近すぎるんじゃないかなとも思ったんですけど、全然気にならないよね。
奥様:コーディネートを考えては鏡の前に移動する手間がなくて、朝の準備が1ヶ所で済むのもすごく楽です。洋服の動線でいうと、コートをかけるために玄関収納を作ってもらったのもよかったです。
▷洗面台の下は、シンプルに棚板一枚のみ。洗面を浮かせることで、広く感じられる。
▷トイレにもバスルームと同じタイルを一面に。本棚もある。
ー EcoDecoに依頼してよかったところは?
ご主人:こんな感じがいいなっていうのを相談しながら、小林さんが図面に起こしていってくださるのは、とてもやりやすかったです。設計だけじゃなくて物件探しから設計、工事、引き渡しまでいろいろな工程を想定したうえでの一連の動きをお任せできるのはEcoDecoだったからかなと。
奥様:そうですね。ローンの組み方も全然わかっていなかったので、そのあたりをサポートしてもらえたのもよかったです。
ー 今後考えていらっしゃることはありますか?
ご主人:ベランダが広いので、暖かくなったらベランダに出てのんびりしたいですね。
奥様:あと、窓に網戸がないので付けたいねっていう話もしています。そういう相談をした時も管理規約や工事申請のことについてEcoDecoさんが管理会社と直接連絡を取ってくださるのは助かります。
小林:古い住宅の場合、当時は網戸の精密な加工ができなくて元々付いていないこともあるんですよね。
ご主人:今は二人とも仕事中心の暮らしですが、もうあと5年経ったらもう少し都心から離れた場所に引っ越すのもいいかなという思いもあります。ただ、雰囲気はいい部屋になったし、今はここでの暮らしがすごく気に入っています。
クリエイティブなお仕事をされているお二人だけあって、家自体はシンプルながら、小物やアート作品がアクセントとなり隅々まで素敵なお住まい。また、ゆったりとくつろげるリビングと、コンパクトな書斎。6mもの長さのあるキッチンカウンターと、その脇のワークスペース。海外のホテルのようにスタイリッシュな浴室と、機能的なクローゼット……などひとつの空間に多様なコーナーが共存していることも、柔軟な暮らしをされているお二人ならではだなと感じました。
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