ファミリー/81㎡以上
90平米を超えるマンションをフルリノベーションされた北村様ファミリー。広々とした室内にはご夫妻が旅先で集めた小物や雑貨がバランスよく飾られています。奥様は仕事柄IKEAの製品に詳しく、家具やアイテムの取り入れ方もさすが。コロナ禍以降、お二人とも在宅勤務が増え、家族3人で時間も長くなったそうで、リノベーションだけでなく暮らしの変化についても伺いました。
リノベ会社を決めるために何件か話を聞きに行ったものの、決め手がなく最後に訪ねたのがEcoDecoさん。岡野さんが不動産と設計を担当してくださったので、内見の時点で実際にどういう家になるのかイメージを共有できましたし、その場で「こういうことができます、できません」とアドバイスしてもらえたので物件選びの判断基準になりました。
ー玄関の扉を開けた瞬間に広がるこの雰囲気、素敵ですね。
ご主人:ありがとうございます。靴箱の上に絶対に使いたいと思っていた照明を取り付けました。
奥様:主人も私もずっと気になっていたピーター・アイビーさんという作家さんの作品です。玄関ならお客様も私たちも必ず目に触れるのでここに付けました。国内外を問わず夫婦で旅行が趣味なので、旅先で買った食器や小物が映えるように飾ることは、家づくりをするうえで大切にしました。たとえばキッチンの棚は土鍋を見せるためにオープンにしたくて、キッチンに使った木材と質感を合わせて造作で作っています。といっても、基本的には主人が毎日料理をしてくれるので、キッチンは全部主人に任せました。
▷ごはんを炊くのに使っているのは城進(じょうすすむ)さんの土鍋(奥)。用途に応じて3種の土鍋を使い分けています。
ご主人:今はコロナの影響でなかなか難しいですが、家族や友人に料理を振る舞うことが好きなので、ホームパーティができるような広々としたダイニングや、キッチンとダイニングがつながるようなレイアウトにしてもらいました。
奥様:キッチンの前板と引き出しはIKEAのものです。KUNGSBACKA(クングスバッカ)というシリーズでペットボトルを再利用して作られていることを知って、使ってみたいと思いました。洗面所の扉に丸い穴が開いているのと同じように、本当はキッチンの扉も同じようにしたかったのですが、穴を開けると中の芯材がポロポロ出てくる可能性があるということでやめました。代わりに、設計を担当していただだいた、岡野さんのお知り合いの家具屋さんに、取っ手を特注で作ってもらったんです。
ご主人:かわいくなったのでお願いしてよかったですね。キッチンは軽やかな雰囲気にしたかったので天面のステンレスはなるべく薄くしたのもこだわりです。
奥様:取っ手もそうですが、「Aにするとこうなって、Bにするとこうなります」と岡野さんの提案がクリアだったので、何か悩んだり考えたりする局面でも「こっちにします」「こっちがいいです」と判断しやすかったです。
岡野:リノベーションの設計では、その選択する内容に一長一短あることも多いので、良いところとだけではなく、気になる点も合わせて、両方をお伝えするように心がけています。
リノベーションを考えたきっかけは?
奥様:子供が生まれたことがきっかけになって自分たちの住まいを持ちたいという思いが出てきたのと、二人とも建築が好きなので、自分たちで好きなようにできるフルリノベをしたいなと考えていました。それと、主人はアクティブで、もともとあまり家にいることが好きじゃなかったので、家に愛着を持ってもらいたいなというのもありました。
ーおもしろい理由ですね(笑)。
ご主人:そう言われた時に、自分にとって愛着を持ちたい場所がキッチンだったので、イメージどおりのキッチンに仕上がって、毎日気持ちよく立つことができています。家にいる時は5割くらいはキッチンにいますね。ものづくりが好きなので、創作意欲を料理にぶつけています(笑)。
奥様:毎日違う料理を作ってくれるよね。
ご主人:どうせ作るなら、毎日違うメニューにしたり、おもしろい料理を作りたくて。料理本も少しずつ増えてきました。
奥様:娘は主人のつくる唐揚げが好きですね。
▷リビングで堂々たる存在感を放つBang&Olufsenのテレビ。ボタンひとつでキッチンのほうへと向きを変えられます。
ご主人:なかなか野菜を食べてくれないので、野菜を食べてくれるレシピを探したり、野菜を刻んで入れたり、毎日工夫しています(笑)。キッチンについては、以前の住まいでは壁付けだったので、キッチンからテレビを見たいというのもリクエストの一つでした。ただ、なかなか「これ!」というのが見つからず…。あきらめかけていた時に偶然、二子玉川にあるBang&Olufsenの店頭でこのテレビを見つけて、二人で「これじゃない!?」って(笑)。ちょうどセカンドリビングとの仕切りに柱のような壁を作っていたので、岡野さんとBang&Olufsenのスタッフさんとで打ち合わせをしていただいて設置しました。
奥様:位置を決めるのに実寸大の紙をメーカーからもらって、「この辺ですかね?」なんてシミュレーションしたよね。
岡野:リビングに窓が多くてテレビを置く場所として壁を計画していましたが、このテレビには驚きましたね。一般的な壁固定と方法が違うので工務店にも相談しながら壁の補強などを検討しました。
ご主人:テレビに限ったことではないのですが、一人暮らしをしている時から「好きなものを選ぶ」というのは、生活をする中で大切にしている価値観です。贅沢ですが、毎日触れるものだからこそテレビも、家のパーツのひとつひとつも、本当に好きなものを選んでいます。キッチンのパーツでいうとレンジフードもとても気に入っています。
▷コーヒー豆を挽くことは、お子さんにとっての毎朝の日課。すっとミルを手で支えるパパとお湯を沸かすママ。北村ファミリーの見事な連携でした。
ーご夫婦でキッチンに立つこともありますか?
ご主人:はい、二人で立てるキッチンにしたいとリクエストしました。
奥様:娘もステップに立ってお手伝いをしてくれることもあります。最近は毎朝、コーヒー豆を挽くのを担当していますね。
ー奥様はどこで過ごすことが多いですか?
奥様:平日は夕飯の後、お風呂入るまでの間、私と主人はリビングでテレビを見て、娘はリビングにおもちゃを広げて遊んだり、窓辺のテーブルで絵を書いたりして、それぞれに過ごしていますね。以前の住まいは55平米くらいだったんですが、今はお互いにゆとりをもって過ごせるところが気に入っています。
▷窓辺のキッズデスクでお絵かき。キッチンからも目が届く場所にある。
ご主人:2019年末に引っ越したのですが、ここに住んでから、娘がすごくいい顔をしているのを感じます。コロナによる緊急事態宣言中に、家から出られなかった時期も、家じゅうを走り回ったり、おもちゃを自由に広げたりと、ストレスなく遊んでいるのが見てとれたので、家を買ったタイミングは本当によかったです。
ーコロナ禍以降暮らしはどう変わりましたか?
ご主人:3人で夕飯を食べることが増えました。私は会社にいると残業することも少なくなかったのですが、今は基本的に夕飯は3人でゆっくりと食べていますね。
奥様:以前にも増して食器や調理器具は、自分たちにとって使いやすいもの、使っていて気分が上がるものを選ぶようになりました。在宅勤務時には、主人はダイニングテーブルで仕事をしているのですが、私は電話会議も多いので、お互いの仕事スペースは分けています。私が寝室で仕事ができるようデスクを購入しました。
ご主人:二人とも家にいるのは週に1〜2回ですが、たいていどちらかは在宅で仕事をしています。
ー家づくりでは他にどんなリクエストをしましたか?
ご主人:この家は窓からの眺望もいいですし、窓の数が多くて光もたっぷりと差し込むので、奥のスペースをリビングにすることを希望しました。そのうえで、無駄な行き来がない機能性を大切にしつつ、余白感を大切にしたいとリクエストしました。それと、せっかくだからリノベーションでなければ実現できない要素を入れたいなという思いがありました。結果的に、家の真ん中にドンとウォークインクローゼットがある、おもしろい間取りになったのかなと思っています。
▷寝室、ウォークインクローゼット、セカンドリビング、リビングをつなぐスペース。角部屋なので光がたっぷりと差し込みます。
▷IKEAのPAXで作ったファミリークローゼット。玄関側と窓側の両方に入口があるウォークスルー式。
奥様:私もファミリークローゼットは作りたいと思っていました。一人暮らしの時から使い勝手の良さを実感していたIKEAのPAXというワードローブシステムを使いたかったんです。中の棚板も自由に変えられるし、必要に応じて追加もできるので、後々ライフスタイルが変わった時も、仕様を変えられるのが良いなと。「フルリノベーションの良さをどうしたら出せるのか?」ということは岡野さんと話し合いながら詰めていきました。岡野さんの考え方が柔軟なので、私たちの意見に対しても「そういうのもいいですよね、じゃあこういう風にしましょうか」と受け止めたうえで提案をしてくださるので、すごく楽しかったです。
岡野:今はお子様がお一人で、まだ子供部屋は必要ない状況ですが、「先々必要になるけど今は必要ないもの」をどうやって計画するのかは、何度も考えましたよね。たとえば今はセカンドリビングとして使っているスペースは将来的にご夫婦の寝室にするとか、今の寝室は、将来的に区切れるようにするとか、「今」にとっても良いし「これから」にとっても良い家になったのかなと思います。
▷セカンドリビングには、おもちゃや書類の収納スペースを作った。ここで遊んでいてもキッチンから目が届く。
ー物件自体はどうやって見つけられたのですか?
奥様:そもそもリノベ会社自体を決めるために何件か話を聞きに行ったんですが、決め手がなくて最後に訪ねたのがEcoDecoさんでした。お会いした当日に、岡野さんがすぐに幾つも物件を紹介してくださったので「話が早い!」と(笑)。
ご主人:私にとっては別の会社の説明も新鮮に聞こえていのですが、妻は職業柄、家づくりについての知識はあるほうだと思うので、岡野さんのような物件のことだけではなく、建築的な知見のある方を求めていたのだろうと思います。
奥様:岡野さんが不動産と設計の両方を担当してくださったので、一緒に内見をしている時点で、実際にどういう家を設計してくれるのかをイメージできたこともよかったです。その場で「こういうことができます、できません」とアドバイスしてもらえたので物件選びの判断基準になりました。
ご主人:全部で20件くらい内見しましたよね。当初は70平米くらいで探していたのが、いくつか見ていくうちに最終的に90平米になって(笑)。90平米となると物件数も少ない上に変わった構造も多かったのですが、この部屋は訪れた瞬間に、この窓の多さと間取りの自由度が期待どおりで!これ以上の巡り合わせはないなと思い、即決でした。
岡野:この物件自体は新耐震ですが、旧耐震のマンションも内見しましたよね。耐震は気にしていましたか?
ご主人:旧耐震に対しては、岡野さんから説明を聞いていたので、心配していませんでした。ただ、候補に挙がっていた旧耐震物件には、リノベーションで変えられない設備があったりして、耐震以外の要素で気になる面があったので、最終的には候補から落ちていきました。
岡野:内見した中には、広さや環境は申し分ないのに、キッチンが部屋の真ん中にある壁式構造で、北村様が思い描く間取りにしづらい物件もありましたよね。通常の物件探しとは違った探し方になるのもリノベーションでの物件探しの特徴だと思います。
ご主人:空間づくりについては、ある程度自分たちでもできそうだなと思っていたので、物件選びから安心して任せられるのはよかったです。
ー実際に住んで実感したこの家の良さは?
奥様:扉や壁で仕切りつつ、あちらからも、こちらからも回れる動線は生活がしやすいですし、子供も遊びやすそうで、気に入っています。
ご主人:暖かさも住んでみて実感しました。窓が多いので日差しもたくさん入ってきますし、床暖房も入れているので、去年の冬はほとんどエアコンを使いませんでした。
ーリノベをする中で大変だったことは?
奥様:完成直前にトイレットペーパーホルダーやタオルバーなど家に付随するパーツを選ぶのが意外と大変でした。1回付けてしまえばあまり変えない部分ですし、毎日使うものだから妥協したくなくて。
ご主人:地味だけど長く使うものですからね。店頭だと選択肢があまりなくて、ネットでひとつひとつ探しました。トイレットペーパーホルダーも、あれこれ探して行きついたのが、小泉誠さんがデザインしたシンプルなものでした。洗面所のタイルも理想のものを探してタイル屋さんに見に行きましたね。でも、そういうこともリノベーションをする中でやりたかったことなので、大変というよりは楽しかったです!
奥様:あとは壁をすべて自分たちでDIYしたのが大変でした。岡野さんやお互いの両親、友人にも手伝ってもらって1週間かけて塗りました。これも大変でしたけど楽しかったですね。
▷ベッドルームは広めに取り、入り口を2箇所設けることで、お子様の成長に合わせて2部屋にできるようなつくりにした。
ーリノベを振り返っていかがでしたか?
奥様:自分たちがどういう風に暮らしたいかを考える良いきっかけになりました。今のニーズを叶えつつも、その先どうしたいのか、ということもよく考えました。
ご主人:家だけじゃなくて「将来、何にお金を使いたいのか」「老後の人生をどうするのか」といったことまで考えましたね。
ーローンなど資金面はどのように考えましたか?
奥様:リノベーションの予算については「これをするとこうなる」「こっちだとこうなる」と岡野さんがしっかりと出してくださいました。ただ、二人とも旅行が好きなので、これからも家族で旅行をしたり、今の生活をそこまで切り崩さなくてもちゃんと生活できるかどうかも気になったので、知人に紹介してもらったファイナンシャルプランナーに相談したうえで、物件の購入を決めました。
ご主人:物件自体が予算を上回る物件だったので、資金を無理なく上乗せできるか検討する時に相談したのがご縁で、今も年に1回、相談しています。将来設計でいうと、この物件の間取りや立地を鑑みると、将来住み替えした際の売却にも有利かなという考えもあります。私の親が子供が独立した後自分たちで家を建てているのと、今回のリノベーションが楽しかったので、単純にもう一回くらい家作りをしてみたいなという思いもあって、将来売却も選択肢として入れています。
▷セカンドリビングにはシングルベッドがあり、ゲストルームとしても使っている。
奥様:現時点では、将来子供が独立した後、ここが広すぎると感じた時にどうしようかな、というくらいの考えですが。ただ、夫も言うように家づくり自体が楽しかったので、リノベーションが全部終わった後、ちょっとさみしかったですね、「あ、終わっちゃった!」って(笑)。
ご主人:今後はセカンドリビングの照明を変えたり、寝室の壁に布を飾るかペイントしたり、少しずつ変えていきたいなと思っています。
奥様:でも急いではいないよね。何かいいものを見つけたらその時に変えればいいかという感じで、ゆっくり楽しんでいます。
快晴の日曜日。さんさんと日差しが差し込む明るいお部屋は、住んでいる人だけでなく家じゅうを彩る一つ一つの雑貨まで、なんだか気持ちよさそうに見えました。取材中も終始ご家族が仲睦まじくおやつを食べたりおしゃべりをしたり。新しい住まいの日常をとても楽しんでいらっしゃるのが伝わってきました。人を招くのがお好きだとおっしゃっていたので、たくさんのご友人が集まってホームパーティを楽しめる日が早く来るといいなと願う2020年の秋でした。
↓ 北村邸の画像をまとめてご覧になりたい方はこちらから(Pinterestのサイトへ移動します。)
94㎡の広さを、お子様1人の3人家族用にリノベーションしましたが、設計中は今のコトと将来のコトをバランス良く計画する必要がありました。子ども部屋をまだ必要としていないため家族3人が寝られる広さの寝室や、子ども部屋を将来設ける時の計画、また、将来お子様が増えた時の間取りの考え方など、将来状況が変わった際にも快適に暮らせることを念頭に計画を進めていきました。
そのような将来的な間取りが計画されている上で、今のセカンドリビングや窓際のギャラリー通路、ウォークスルークローゼットが「今の」北村様にとって必要なスペースとして機能しているのです。工事が完了したらリノベーションは完成ではなく、お子様の成長に合わせて家も様相を変えていける柔軟性のあるリノベーションプロジェクトでした。
不動産探しから施工まで、リノベーションに関するあらゆるご相談に、幅広くお答えします。リノベーションコーディネーターが無料個別相談会を行っていますので、お気軽にご予約下さい。まずは、じっくりとお話ししてみませんか。
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