ファミリー/71〜80㎡
50代で夫婦共に働き方を変えたAさんご夫妻。これからの夫婦二人暮らしを楽しむために、26年暮らしてきた自宅マンションをリノベーションしました。設計者と綿密にコミュニケーションを取り、打ち合わせや素材選びなど家づくりそのものも存分に楽しみながら、自分たちの想いを隈なく反映した住まいを完成させました。
▷1階ながら庭から明るい日差しが入るA邸。ダイニングテーブルは天板を伸長できるものをセレクトしています
ー Aさんご夫妻は、現在どのような生活をされていらっしゃいますか。
ご主人:私は会社員として週2日出社、残りは在宅ワークをするようなスタイルで働いています。
奥様:私は昨年会社を退職をして、今はスローペースで自宅でオンライン英会話の講師をしています。
ー お二人とも、ご自宅で過ごす時間が多いのですね。ご自宅で過ごす時間が多くなったことが、元々お住まいのご自宅をリノベーションした理由だったのでしょうか。
ご主人:26年前に新築で購入したのですが、その当時からいずれ夫婦二人になった時に、二人で住みやすいような家にリノベーションをしようと話していたんです。ちょうど今年息子が結婚をし、娘が大学卒業を機に独立予定だったので、「これからを楽しむなら早いうちに」とこのタイミングでのリノベーションに踏み切りました。
奥様:実際には、娘は進学したことで今もここで暮らしていますが(笑)。
ー 購入当初から、終の住処としてイメージをお持ちで、2020年に人生のフェーズが移り、これからの暮らしに合わせるタイミングがきた、ということですね。ちなみに、住み替えについては検討されなかったのでしょうか?
ご主人:全く考えませんでした。この家は、家族の思い出が詰まった家ですし、お庭もあります。立地も便利で街も気に入っていたので、住み替えは考えませんでした。70㎡なので、夫婦で暮らすにはゆったりとできる広さですし。
ー 他の選択肢は全くなかったというのがすごいです。購入当時の計画の緻密さゆえですね。
主人:結果的に、です。目黒の方に実家があったので、選択肢が無い訳ではありませんでしたが、駅から距離があって自分たちの暮らしには合わなかった。ここの方が利便性が高かったので、両親が他界した後に処分をしました。
ー リノベーション前はどのような暮らしだったのでしょうか。
ご主人:元々は3LDKの間取りで、夫婦と子ども2人で暮らすにはちょうどよかったのですが、暮らしの変化に伴って使いづらくなっていました。
奥様:ドアが多くて何をするにも開け閉めのステップが発生するのがストレスで。玄関と廊下が狭くて暗かったり、大物の収納場所が足りなかったり、コンセントがタコ足配線でコードだらけだったり…長年暮らすうちに使いづらさを感じていました。リノベーションで、合理的で家事効率が良く、シンプルで広々している家にしたいと考えていました。以前は動物が多くて個室ひとつが飼育部屋という、動物優先の住まいだったんですよ。
▷26年前に新築で購入し、親子4人で暮らしてきた住まいをリノベーションしました
ー リノベーションをする際、依頼先をどうやって探されたんでしょうか?
奥様:ものすごくこだわりましたよ。10社ぐらいに足を運んで相談をしたと思います。私たちが重視したのは、営業の方が窓口になって設計を進めるのではなく、設計士と直にやりとりして家づくりができることでした。『自分たちが思っていたのと違う』というような結果になるのは避けたかったんです。そんな中、WEB検索でEcoDecoを見つけて、依頼者の方がどういう気持ちで家づくりを進めたのかが丁寧にレポートされた事例インタビューを読み、ヒアリングを大切にしている印象を受けました。スタッフの自宅リノベーションのレポートでは読者が知りたいリノベーションの裏側を伝えてくれたり、設計の方が依頼者の方と一緒にプロセスを楽しんでいる様子が伝わってきて、そこに信頼感を覚えて問い合わせをしました。
ご主人:私たちが調べた限りでは、誰がどの事例を設計したのか分かったり、設計担当をこちらで指名できたり、そして、設計のプロセスについて記事にしているような会社は他にはありませんでしたね。
奥様:EcoDecoさんの事例インタビューの中でも、岡野さんが担当した事例に共感を覚えることが多かったので、岡野さん指名で問い合わせをしました。
岡野:EcoDecoでも大々的に担当者を指名できますよ、と明言している訳ではないのですが、時間的に許される限りは対応したいという方針です。A様の場合、お問い合わせいただいてから、お子さんの独立のタイミングまでプロジェクトを寝かせる期間があったので、スムーズに実現できました。
▷A邸を担当した設計の岡野とAさんご夫妻。設計時のやりとりを振り返って話が弾みます
岡野:Aさんご夫妻は初回の打ち合わせの際に「実現したいこと」「検討したいこと」「今の家で困っていること」をまとめた要望書をお持ちいただきましたよね。初回にお会いした2019年には2ページだったものが、プロジェクトスタート時の2020年には5ページに増えていました(笑)。
ご主人:1年の間、何度もブラッシュアップしていきましたから。夫婦それぞれの要望があって、そこに相反することが書かれていても、敢えて調整せずにそのまま出しました。
奥様:岡野さん、ぎょっとされたんじゃないですか(笑)。
岡野:いえいえ、最初に聞きたいことが書かれてあったので、ヒアリングする必要がないぐらいでした。
▷Aさんご夫妻が作成した要望書。全体テーマに各部屋ごとの要望、収納計画の方針や仕上げ内容までまとめられていました
ー 具体的にどのようなことが書かれていたのでしょう?
ご主人:「庭の緑を見ながら夫婦でコーヒーを飲みたい」といった暮らしのシーンから、「壁は白で建具は木、緑がある家」といったインテリアイメージ、「室内に段差をつくらない」「収納家具は置かずに造り付け収納にする」といった機能面への要望、各部の仕上げや使いたい設備、どんな家具や家電を置くのかまで、事細かく書き記していましたね。
奥様:2019年の要望書には、確かワンルームをイメージして書いていました。ただ、1年の間にコロナ禍になり、一時は家族4人全員が在宅になったことで、やはり個室は必要だと考えを改めました。
▷デスクとして使える可動棚を備え付けたワークスペース。ご主人はテレワークの際のオンラインミーティング、奥様は友人の子供の英語レッスン、娘さんはオンライン授業や課題製作の作業スペースなど、多目的に使われる
▷リビングダイニングが見渡せるオープンキッチンを配したLDK。造作したリビング収納には間接照明を仕込みました
ご主人:要望書をお渡しした後、岡野さんからは6つぐらいプランを提案してもらいました。
岡野:私が提案する場合、お施主様が検討しやすいように色々なパターンをご用意することが多いです。EcoDecoのお客様の場合、「家を買う」というより「家をつくる」という感覚の方がほとんどですから。
ご主人:お風呂はこのプランのが良くて、キッチンはこのプランのが良くて…と、いただいたプランを切り貼りしながら自分たちでも検討して。設計を進めていくうちに、やりたいことを全て納めることは実際には難しいことが図面を見て分かってきました。家族の間でも、岡野さんとの間でも何度もやりとりをした過程があったので、出来上がったプランに納得して進めることができましたね。思い描いていた通りの家ができました。
奥様:私にとっては期待以上でした(笑)。
▷ご友人に誘われて乗り始めたというご主人のロードバイクは、リビングに飾って収納
ー 収納以外にもこだわりがおありかと思いますが、教えていただけますか。
ご主人:この家は1階なので、以前は直床で冬は床が冷たく、暖房器具をたくさん使っていました。今回のリノベーションで、床は二重床にしてガス式の床暖房を入れたことで部屋全体が温められるので、薄着でも快適に過ごせます。
岡野:床が上がる分、天井が低くならないようにコンクリート躯体を直に塗装する仕上げにして、建具も背を高く造作して、天井が高く感じられるよう工夫しています。
奥様:建具はトイレ以外すべて引き戸にしました。ドアの開け閉めのステップが面倒だったこともありますし、開けっぱなしにするとドアの裏にゴミが溜まるのも嫌でした。今は、日中は引き戸を開け放ってワンルーム的に使っています。
▷暗かった玄関は、写真正面の個室とLDK側から明かりが入る空間に。写真のように閉めていても上部から光が入る。広く感じられるように下足入れは浮かせた造りに
ご主人:床に段差がなく、扉のレールもないので床の引っ掛かりがありません。引き戸の開閉で出入りできる空間は掃除がしやすく、バリアフリーでもあります。将来への備えとして、トイレには必要になったら手摺りが取り付けられるよう、両側の壁に下地を入れてもらいました。
▷リビングのTVが見られるようペニンシュラ型にしたキッチンは、二人でも悠々と作業ができる大きさ。背面のキッチンカウンターとの間もスペースをたっぷり設け、二人で作業しても体がぶつからないようにしました。庭に出入りできるバルコニーに面しており、光と風が入る心地良い空間
ー お気に入りの場所はどこですか?
お二人:全部…全部ですね(笑)。
奥様:ひとつ挙げるとすれば劇的に変わったところでもあるキッチンですね。キッチンがある場所はもともと和室で、壁と引き戸で仕切られていたので、LDK全体が明るくなりました。以前から家族みんなが料理を手伝ってくれていたのですが、キッチンがクローズド型で狭かったので、手伝ってもらっているのに快適じゃなくて(笑)。今のキッチンの使い勝手は最高です。夫が不在の時は私がごはんを作って、二人とも家にいる時は一緒に料理をしています。
ご主人:設備が新しくなったことも快適さの理由ですが、家電類も26年前から変えていなかったんです。だから、電気代も高かったですし、給湯器も最後の方はリノベーションが始まるまで持つか不安だったほどですよ。
▷背面のキッチンカウンターとの間は約110cmでゆったり。床は手入れのしやすい塩ビタイル仕上げ
▷キッチンで作業中、空けっぱなしにしていても邪魔にならないよう、扉は引き込める作りに
ー 要望書を拝見すると、Aさんご夫妻には空間づくりのテーマがあったのですね。
ご主人:私は「合理的で便利で住みやすい」こと、妻は「シンプルで広くて効率が良い」ことですね。キッチン・洗面脱衣室・リビングダイニングを回遊できる動線のほかに、片付きやすく使いやすい収納づくりにもこだわりました。
▷リビングのコーナーにさりげなく作られた背の高い物用の収納。ゴルフバックや自転車用品を収納
▷洗面の収納棚もカゴとタオルがぴったり収まります。天井に2カ所つけたハンガーバーは室内干し用
▷布団や収納ボックスの奥行きぴったりに棚を造作した納戸。念願だったワインセラーもここに格納
▷玄関横にはストック用品や時々しか使わないものをしまう収納を造作
ー それぞれ収納の、サイズぴったりに整然と物が収まった様は壮観ですね。
ご主人:要望書でも、どこに何を収納したいのか、どんな収納にしたいのか、きっちりイメージを整理していました。奥が深くて手が届かない収納は、ただ物をしまっておくだけになってしまう。なので、しまうものに合わせてサイズを決めていって、手前だけに物が並ぶようにしました。収納の量は持っている物に合わせて決めるのではなく、つくれる収納の量に合わせて、持ち物を取捨選択しました。
ー ここでもA様の計画性が生きますよね。他にも収納を見せていただけますか。
ご主人:「ドライヤーをコンセントに挿したまま収納したい」という希望があったので、『コンセント付き引き出し』を作っていただきました。同じアイデアで、リビングの造作収納の引き出しにも、スマホ充電用のコンセントが備え付けられています。
奥様:リノベーションをしようと決めたときから、Pinterestなどで情報収拾を重ねてきましたので、色々なアイデアを出しましたね。それに対して岡野さんが答えを出してくださるとうな形でした。
ご主人:あと、コンセントが足りなくて、タコ足配線で家中延長コードだらけになっていたのがとても嫌だったんです。なので、コンセントの位置や数にもこだわりました。ダイニングテーブルでホットプレートを使う時の電源や、サーキュレーターや自転車のメンテナンス道具の電源が取れるように、リビングダイニングの床にも蓋付きのコンセントをつけてもらいました。
▷ドライヤーをコンセントに挿したまま収納できる洗面台の引き出し。毎回コードをまとめる必要がなく、これは便利!
▷同じ仕組みでリビングの収納にもスマホやタブレット充電用の引き出しを造作。コードのごちゃつき問題を解決
ー 収納の使い勝手やコンセントの位置や数。どちらも暮らしに合っていないと地味にストレスを感じる部分です。そんな細かい部分に応えることができるのも、自由設計のフルリノベーションならではですね。
奥様:私たちが『こんなふうにしたい』と話すと、岡野さんは『やれるかやれないか』ではなく、『こんなふうにすればできますよ』と実現するための方法を考えて提案してくれるんです。コストについても『これをすると高くなる』『こうすれば安くなる』というふうに、常に判断材料を提示してくれるので、すべて納得して決めていくことができました。使いたいパーツをどこなら安く買えるかという情報まで教えてくれて、そこまでサポートしてくれるんだと感動しました。
ご主人:岡野さんはどんな話も聞いてくれて、アイデアも豊富で、やりとりするのが本当に楽しかったです。ひとつだけ不安だったのは、施工会社が別会社な点でした。設計は岡野さんとやりとりできるけど、施工についても私たちが施工会社と直にやりとりしなければいけないものだと思っていたんです。実際は岡野さんが施工会社の方とやりとりもしてくれたので、すごく安心感がありました。議事録をしっかりつけてくれることも良かったです。家づくりをした友人たちからよく聞いたのが『自分たちが言ったことと違うものができた』という話で、そういった事態が起こることを危惧していたんです。でも議事録があるので安心できましたし、現場で何か起きてもすぐに共有してくれました。
ー キッチンに出ている物が少なくて、とてもスッキリしていますよね。
奥様:リノベーションを機に家電を見直す中で、ご飯は土鍋で炊くことにして炊飯器をなくしたり、グリルでパンが焼けるIHコンロを選んでトースターをなくすなど、なるべく物を置かないすっきりした暮らしを叶えるために、家電との付き合い方も見直したんです。以前は家事が好きではなかったんですが、今は家をきれいに維持したいので家事をするのが楽しくなりました。あと、新しい家になってから、お花を飾るようになりました。週に一回、お花を変えて生けています。今まで作ったことがないお料理にチャレンジしたり、ワインを飲みながらゆっくり食事したり。今後はお友達を呼んでパーティーもしたいですね。
▷リノベーション後の空間には、花やお気に入りの雑貨を飾るゆとりも生まれました
ー いいですね。他も今後この家でやりたいことや、描いていることはおありですか?
奥様:庭に面している窓の前に座って、夫婦二人で庭を眺めながらコーヒーを飲むという夢があるんです。近いうちにマンションの大規模修繕工事があるので、それが終わったら庭を手入れして、カーテンを開け放った生活がしたいんです。
ご主人:今はこの家をより快適にするためのことをするのが趣味ですね。二人で仲良く心にゆとりをもって暮らしていきたいです。
ー リノベーションで、これからの人生を謳歌するためのステージを手に入れたAさんご夫妻。この家でどんな暮らしのシーンが展開されていくのか、楽しみですね。ありがとうございました。
↓ A様邸の画像をまとめてご覧になりたい方はこちらから(Pinterestのサイトへ移動します。)
私も8年間暮らした自宅をリノベーションしましたが、今まで住んでいた自宅をリノベーションすることは1つの流れを大きく変える決断と今までの思いを昇華させる努力が必要になる事だと思います。
2019年に始めてご連絡をいただいた時から工事が完了してお引っ越しされるまで、A様のリノベーションに対する熱量は常に大きく、設計中の打合せも長時間に及ぶことも多々ありましたが、その甲斐あって細部までA様の思いが詰まったリノベーションになったと感じています。
取材で久々にご訪問した時もリノベ中に感じたA様の熱はご健在で、その対象が「リノベ」から「暮らし」に変わっていました。
今後予定されているお庭の手入れもそうですが、日々の暮らしの些細なコトまで、愉しむ暮らしを続けていただけると幸いです。
不動産探しから施工まで、リノベーションに関するあらゆるご相談に、幅広くお答えします。リノベーションコーディネーターが無料個別相談会を行っていますので、お気軽にご予約下さい。まずは、じっくりとお話ししてみませんか。
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