一人暮らし/40〜60㎡
三軒茶屋の賑やかな通りから約10分、落ち着いた住宅街の低層マンションにお住まいのT様。フルリノベーションで壁はほぼすべて珪藻土。在来工法の浴室に、無垢のフローリング材、床暖房、コンパクトな空間に理想が詰まっています。リノベーションをしたことで、今まで考えたことのなかった住まいに対する可能性も広がったようで、暮らしや心境の変化を伺いました。
EcoDecoさんから物件をご紹介いただきつつ、自分でもインターネット上で探す中で見つけたのが、この家です。まだ居住中ではあったのですが、建築の知識もあるEcoDecoさんに内見してもらえたので、プロの目でかなりしっかり状況を確認してもらえたことは安心感がありました。
▷寝室のベッドライトには自作のリースを飾ってアクセントをプラス
—玄関からほとんどすべて、珪藻土の壁になっているんですね!
(不動産&設計担当)谷口:表面には凹凸があるので、明るさによって陰影が感じられるのはいいですよね。—壁の仕上げに表情があるので、何も飾られていなくても美しいです。
T様:質感も気に入っていますが、珪藻土のおかげか、ここに住んでからほとんど湿気が気にならないんですよ。実家の和室の壁が珪藻土なのですが、他の部屋と空気が違ったんですよね。それと同じで、この家の空気も心なしか澄んでいるような気がします。—たしかに、今日はすごく蒸し暑いですが、お部屋に入ると空気が違いました。
▷家全体を包む珪藻土の壁。自然な凹凸は壁面にゆるやかな表情を生むとともに、調湿効果の機能性も
T様:サーキュレーターを回しているだけなんですけどね。フローリングも無垢材にしているので、夏場に素足で歩いてもサラッとしていますよ。—リビングは天井もモルタルでしょうか?
齋藤:元々は躯体現しの予定でしたが樹脂モルタル仕上げです。上階に住戸があるのに、解体したら、断熱材が打込まれていて…二重天井とすると天井高が低くなってしまうし。そこで現場の方から薄い塗厚の樹脂モルタルにしてはどうかという提案があって。天井高の問題はクリアできる反面、クラックが入りやすいデメリットがあることもT様に了承を得て、実現しました。天井の樹脂モルタル、壁の珪藻土、モルタルと、左官仕上げが多いのはT様邸の特色のひとつですね。—こんなに沢山珪藻土を使った家は初めて拝見したかもしれません。
T様:リノベーションについて、最初にリクエストしたのが、珪藻土の塗り壁や無垢材のフローリングにしたいことと、在来の浴室を作りたいことでした。ただ、予算も限られているので、全てを叶えるのは難しいだろうなとは思っていたのですが、齋藤さんと谷口さんがうまくバランスを取ってくださったおかげで実現しました!—お部屋のサイズがコンパクト(45㎡)だから予算内に収まったのでしょうか?
齋藤:それも一つの要因ですし、こだわる部分とそうでない部分の判断などがとても明確だったということもありますね。たとえばフローリングなら無垢材、色味を優先して、樹種やサイズはそこまでこだわらないとか。そういうひとつひとつの積み重ねなのかと思います。▷玄関はガラスブロックからも光が差し込み明るい雰囲気です
▷ウォークスルークローゼットを設けて、収納と居住スペースはしっかりと分けています
—リノベーションを考えたきっかけもその辺りにあるのでしょうか。
T様:新築の賃貸マンションに住んでいた時、機能は充実していたのですが、壁のクロスや床の質感が自分の中でしっくりこない感覚があって。そこからリノベーションをしてみたいなと考えるようになりました。—踏み出すきっかけがあったのでしょうか?
▷寝室の上部は開けている。小さな空間だが、開放感があるため狭さは感じない
T様:家族(姉・弟)が続けて住宅を購入したことに触発されたのかもしれません。それまでは、自分がマンションを購入するなんて現実的に考えたこともなかったのですが、「もしかしたら私にもできるのかもしれない」と思うようになりました。賃貸であっても、ちょっと広い部屋に住もうとすると、それなりに家賃もかかりますし、同じ金額を払うなら、自分の好きなようにリノベーションできたほうがいいなと。—賃貸の時もこの辺りにお住まいだったのですか?
T様:一人暮らしを始めた時は学芸大学に住んでいたので、ここからそれほど遠くはないですね。そこが少し手狭になって、藤沢へ引っ越しました。実家や姉の家も近くて、よく行き来をしたり、部屋から海を眺められる環境も気に入っていたのですが、勤務先が都内なので通勤時間がネックでしたね。それで、やっぱり都心に住みたいと考えました。—お店も多く賑やかな三軒茶屋と、海が近くにある藤沢とでは、まったく環境が違いますね。
T様:たしかに、引っ越した当初は三軒茶屋駅周辺のあまりの賑やかさに、気後れして「私、やっていけるかな…」と少し心配になりました(笑)。でも、勤務先にアクセスが良いことが、今の私にとっては大きなメリットだったので「ここでは都会の楽しみを満喫しよう!」と気持ちを切り替えたんです。 現役で仕事をしている間は、都心での生活を楽しんで、リラックスしたくなったら郊外で週末を過ごすとか、そういう使い分けをするのもいいかなと。昔は渋谷もあまり得意な街ではなかったのですが、買い物には便利ですしね。今は都心の利便性を享受しています。—渋谷も三茶も、エリアによっては落ち着いていて大人も楽しめますしね。
T様:そうなんですよ。ここに住んでから行動範囲が広がって、気軽にあちこちに出かけるようになりました。二子玉川とか中目黒辺りはお散歩がてら出やすいです。実は、学芸大学に住んでいた頃に通っていた美容室に今も歩いて通っています。—通勤に変化はありましたか?
T様:かなり楽になりました。帰りが遅くなっても気になりませんし、余裕が生まれましたね。—家で過ごす時間の使い方も変わりましたか?
—ビルトインのガスオーブンがいいですね。
▷付けたかったビルトインのガスオーブンのおかげもあって、料理をする時間が増えたそう
T様:このオーブンは最初にリクエストしたことの一つでした。凝った料理を作るわけではありませんが、野菜とお肉を並べて、オリーブオイルと一緒にグリルするだけで一品になるので便利です。冬場は焼き芋をよく作っていました。オーブンに入れておくだけでできちゃうので。だんだん甘い香りが漂ってきて、なかなかよかったですよ。—おいしそう!お家で過ごす時間が多いのはキッチンですか。
T様:そうですね。ソファに座っている時間が意外と少ないです。床暖房を入れたのはリビングのみなのですが、こんなにキッチンに立つなら、キッチンエリアまで入れたらよかったなと少し後悔しました(笑)。▷よくよく考えてみるとカランは不要だったとのことで、浴室はいさぎよくシャワーのみ
—浴室で過ごす時間も増えたのでしょうか。
T様:リラックスできるので、つい長居しちゃいますね。文庫本を持ち込んで半身浴をして過ごすこともあります。タイル貼りの浴室の事例を見て憧れていたので、この浴室はとても気に入っています。—椅子や風呂桶もいらないですし、よりすっきりと広く使えますね。
▷寝室の壁はテレビ掛けも兼用しています。家具のセレクトは家具のプロである弟さんに頼んだそう
—物件探しについてお伺いします。EcoDecoへは物件探しからトータルでご相談くださっていましたが、この物件はご自身で見つけられたのですよね。当初の条件は50㎡以上をご希望で、しかもこのエリアではなかったそうですが、内見は他にもしましたか?
T様:それが、まったく見ていないんです。お伝えしていた条件が50㎡以上ということもあって納得のいく物件が見つからず、なかなか内見には至っていませんでした。谷口さんから物件をご紹介いただきつつ、私もインターネット上で探す中で見つけたのが、この家です。45㎡ですし、予算オーバーでしたが、平米数を落とすことでリノベーション費用が抑えられて、全体としては予算内に収められるのではないかと考えました。「大きな買い物なのに1件目で決めていいのかな」とも思ったのですが(笑)、ちょうど価格が下がった直後で、全体としては予算内に収まる見込みでしたし、新耐震基準の物件だったこともあり、EcoDecoさんにご相談して内見していただきました。—物件をご覧になったのはいつ頃ですか?
T様:2020年の2月でした。—オンラインでも不便はなかったですか?
T様:コロナ禍でショールームに行けなかったんです。でも、齋藤さんと谷口さんが早い段階で私の好みを理解してくださり、サンプルを取り寄せて自宅に送ってくださったので、まったく困りませんでした。それに、平日は仕事なので、ショールーム巡りをして自分で探したり、毎回オフィスで打合わせだったら、とても大変だったと思うんです。私にとってはメリットも多かったように思います。—プランの決定はスムーズでしたか?
T様:そうですね。いくつかのプランを提案していただいたのですが、今のお部屋に近いプランで即決だった記憶があります。クローゼットがウォークスルーになっているプランだったかな。そのプランを軸にこちらからリクエストをしたり、アイデアをいただいたりしながら詰めていきました。▷真鍮のハンドルは、蝶番も真鍮にしたので統一感があります。北欧をイメージしたブルーグレーの塗装とも好相性です
T様:待てばいいなら待とうかなと(笑)。住み始めてしばらくは穴が開いたままの状態でしたが、そんなに来客が多いわけでもないので問題はなかったです。—素敵なハンドルなので、多少待ってでも付けたかったお気持ちがわかる気がします。
T様:蝶番も真鍮のものを選んでいただいたのでとても気に入っています。もし売却することがあっても、このハンドルは持っていこうと思っています(笑)。▷お姉様から「美術館みたいだね」と誉められた洗面台の鏡。洗面室のアクセントになっています
▷トイレ室内の壁も珪藻土。消臭効果にも期待
—将来的には売却も視野に入れているのですか?
T様:ずっと住むつもりでやりたいことを詰め込んだので、最初は考えていませんでしたが、いざ住んでみると、少しずつ心境が変わってきましたね。ライフスタイルの変化に合わせて、暮らし方を変えたり、もっと気軽に考えてもいいのかなって。—家を買った後に心境が変化するってなんだか面白いですね。
T様:やっぱりコロナの影響もあるのかもしれませんが、「一生ここに住む!」と決め込む気持ちがなくなって。それぞれの場所にそれぞれの良さがあるので、その時の自分の状況によって、柔軟に動けるといいなと思うようになりました。10年後、20年後もここでの生活がベストなのかは今はわかりませんし、それこそ、仕事を辞めたらどこに住んでも自由ですしね。家全体がきれいに整理整頓されていて、飾られた雑貨や日用品もきちんと手入れされていることが伝わってきたお住まい。ご自身の「好き」や「心地いい」を、ひとつひとつ丁寧に手に入れて辿り着いた、大人の美意識や矜持を感じました。リノベをすることで、今の暮らしだけでなく将来の暮らし方の自由度も高まったというお話はとても素敵で、一緒にワクワクしてしまいました。
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