ファミリー/81㎡以上
住み慣れた我が家だからこそ感じる日々の小さなストレスや不便。林様ファミリーは、そんなお悩みを解消すべく、自宅マンションをフルリノベーションされました。リノベといえば個室を減らして広いスペースをつくっていくイメージが強いですが、お子さんの成長に合わせて3LDKから4LDKにした林様の暮らしの変化や空間づくりについて伺いました。
▷リビングダイニング側からはキッチンの中や手元が見えないようになっている
—— 家中がすっきりと整っていますね。
奥様:収納をたくさん設けたので、ほとんど家具がないせいかもしれません。
ご主人:「子どもそれぞれの部屋を作りたい」「リビングを広くしたい」そして「収納を増やす」ということはお願いしていました。
—— 「玄関付近に納戸」ということも、要望の一つでしたね。
▷広めにスペースをとった玄関には納戸を設けた。ワンちゃんとの散歩後にも便利
▷3帖程の子ども部屋が2つ並ぶ。上部は空いていて完全には閉じていない。将来的にはリビングを拡張することも考えているそう
ご主人:ご主人:息子が二人ともサッカーをしているので、多少汚れて帰ってきても気にならないように、土足でもOKな納戸が欲しくて。昨年、犬を飼い始めてから、より便利さを実感しています。
齋藤:白目地だけど、想像以上にきれいに使われていますね。
ご主人:スチームクリーナーを使って時々蒸気で掃除するくらいで、特別なお掃除はしていないんですけどね。
奥様:家の掃除やお手入れについては、私よりも主人のほうが気にかけてくれています。単身赴任中の主人がここで過ごすのは月に一度なので、毎日見ている私よりも新鮮な目で見られているんだと思います。
ご主人:磨くのが結構好きなんです(笑)。スイッチやシンク、水栓などの水回りは撥水剤でコーティングして汚れづらくなっています。
奥様:それで、こまめにお手入れしなくてもきれいな状態をキープできています。
齋藤:ご主人は生活の物は見えてこない雰囲気を望まれていましたね。
ご主人:「扉をつけても結局開けっ放しになるよ」とか言われていたのですが、普段も扉は閉じる習慣があるので、閉じる収納でよかったです。
▷木製収納は把手のないすっきりしたデザイン、キッチンは天板や収納面だけでなくシンクや水栓までホワイトを選ぶことでよりすっきりとした潔い印象に
奥様:キッチンの収納は、リビングと雰囲気を合わせた木で造作しました。スペースをたっぷり設けて、調理家電以外はしまえるようにしています。
齋藤:手掛けもハンドルも無く、プッシュオープンとしたこともすっきりと見えるポイントですよね。
—— もともと壁付けのキッチンだったのですか?
奥様:そうですね、壁が躯体なので、アイランドキッチンにするといったことは構造上難しかったですね。
ご主人:壁式構造なので、プランを考える際に色々と制約はあったのですが、齋藤さんは自由度の高い提案をしてくださったので、「壁式構造だからあきらめた」といったことはありませんでした。
—— なるほど。そもそもEcoDecoに依頼をいただいたきっかけは?
ご主人:このマンションが築18年の頃にリノベーションを考え始めましたが、部屋の通気が良くないのか、玄関横の部屋の隅にカビが発生したり、夏は暑くて冬は寒かったりで……。それで、床や壁をリフォームしようかという話から始まって、どうせならフルリノベーションをしようかと。それと、息子たちの子供部屋をどうするかという問題もありました。
—— お子さまがおいくつの時ですか?
ご主人:長男が中学生、次男が小学校高学年のときです。子供部屋に二段ベットと机2つをおいていましたが、結局、一人は洋室、もう一人は和室を使っていました。どの部屋も使い勝手があまり良くなかったので、なんとかしたいなと考えていました。
奥様:最初は大手のリフォーム会社さんに相談していたんです。ただ、できあがりが新築マンションというのか、リノベーションならではの自由さみたいな部分をあまり感じられない提案で、、しっくりきていませんでした。そのことをたまたまお隣さんに相談したら、以前、EcoDeco代表の谷島さんとご近所さん同士だったそうで、「すごくセンスのいい方だから、ちょっと話を聞きに行ってみたら?」と紹介されたんです。その頃、私の勤務先が(EcoDecoのオフィスがある)恵比寿だったので、軽い気持ちでオフィスを訪れたのがきっかけでした。
—— EcoDecoのどの辺りを気に入ってくださったのですか?
ご主人:先ほどチラッと話した自由度の高さですかね。壁式構造のことがあるから間取りは変えられないだろうと思っていましたが、齋藤さんがキッチンの場所を変えるプランも提案してくださったことには驚きました。やる/やらないは別にして好感をもちました。
奥様:結局、キッチンの位置はそのままにしましたが、廊下の位置は以前とは変わりましたね。そういった位置変更の提案は大手のリフォーム会社さんからはなかったので、いいなと。
ご主人:もちろん全部を叶えられるわけではないとは理解しつつも、よくばって目一杯の希望を出したら、それぞれのいいとこ取りをしたプランを提案していただきました。だから、今思い返しても、あきらめたことはないですね。
—— 湿気や暑い寒いの問題も今は解消されましたか?
奥様:そうですね。夏も冬も快適です。以前は北側にある玄関のガラスブロックに結露がありましたが、それも全くなくなりました。
齋藤:空調設備が更新されたこともありますが、空間全体が比較的つながっていて、空気のよどみがなくなったのと、隣の個室の壁が漆喰というのも効果的なのかもしれませんね。
▷子ども部屋の壁は天井に付けず、ゆるやかに開いています。兄弟の部屋間の行き来は壁を乗り越えることも
—— 子ども部屋も完全に隔てず壁の上部を空けているんですね。中学生だと「個室にしたい」という意見はなかったですか?
奥様:もともと仲が良くて一緒にいることも多いので、完全に仕切られていなくても問題なかっですね。扉を開けずにロフトベッドから壁を乗り越えてよく行き来していますよ(笑)
次男:ロフトに上る階段もありますが、なくても上れるのでいらなかったかもしれません(笑)。
奥様:そうかもね。ロフトベッドは私も時々上るのですが、LDK全体を見渡せて解放感があるので、居心地がいいんですよ。
ご主人:夕暮れ時に横たわっていると、夕陽が柔らかく差し込んできて、落ち着くよね。
▷リビング側は長男の部屋。ロフトは造らず、ベッドを置いています
▷玄関側は次男の部屋。ロフトには読書灯があり、横たわって本を読んだりゲームをして楽しんでいるそう
齋藤:リビング側の部屋は、バルコニーからの採光が室内を反射して入ってくるけど、奥の部屋はそのままだと壁に囲まれて暗い場所になってしまうから、ロフトを設けて外からの明るさを感じることができるようにしました。
—— 兄弟でどちらの部屋にするかはすぐに決まりましたか?
ご主人:弟が決めたらお兄ちゃんはそれに合わせていました。長男はあまり物事にこだわらないタイプなんです。
奥様:ただ、自宅の変わっていく様子は面白かったみたいで、二人ともリノベにはすごく興味を持っていました。工事中に何度か見学にも来ました。
ご主人::部屋数でいうと、子ども部屋を区切ったので元の3LDKからひとつ増えているんです。
齋藤:リノベーションは「オープンな収納」や「個室を取り払った広いリビング」といったイメージも強いかもしれませんが、誰もがそのような方向を望んでいる訳ではないし、壁構造のように構造上制約があることもある。そういった意味でも林様の住まいは参考になるかもしれないですね。
奥様:友人たちの中にも、私たちと同じく、3LDKのマンションに住んで子どもが二人の家庭って多いので、その中で子ども部屋をどうするかを悩んでいる人って多くて。遊びに来てくれた時に参考にしてくれる友人もいました。
▷革張りのソファとテレビ台はメルカリで購入。
—— 家の中のお気に入りポイントは?
ご主人:リビング・ダイニングの広さと明るさですかね。調光ロールカーテンをつけているので、日中はちょうどいい光が差し込んできます。夜は間接照明にすると雰囲気が変わって、それもまた良いです。
奥様:私もリビング・ダイニングだなぁ。
長男:僕は自分の部屋。一人の空間があるのがうれしい。
奥様:弟が壁越しに急にジャンプして入ってくるのは大丈夫?(笑)
長男::うん、それは別にいいよ(笑)。
ご主人:以前は寝室もちょっと空気のこもったような感じがしていたのが、今は全然なくて。快適になったし。お風呂場もいい設備を入れてもらって気持ちがいいし。リノベをして1年以上経ちますが、私は月に1回だけしか過ごしていないから、家全体、空間そのものがまだまだ新鮮ですね。
奥様:お風呂もそうですが、こだわりたい部分を妥協しなかったのはよかったですね。主人がお風呂を快適にしたいからと、リラックスできる機能のあるシステムバスを導入したり、私は照明にこだわりたかったので、ダイニングにルイスポールセンを選んだり。「うちにはちょっと高いかな?」と迷った部分もありましたが、そこを妥協しなかったことで、結果的に満足度がグーン!と上がりました。
▷ご主人がご実家で使っていた物と同じというPSのタオルウォーマー。タオルを収納した扉のルーバーとも好相性です
▷浴室や洗面はご主人がディレクション。隠す収納ですっきりとしています
ご主人:脱衣室のタオルウォーマーもその一つかもしれません。最初は入れるつもりではなかったのですが、実家で使っていて快適だったので同じモノを付けました。朝、顔を洗って拭くときにタオルが温かい状態だとすごく気持ちいいですよ。
奥様:不思議なんですけど、掛けておくだけでフワフワになっているんです。
▷キッチンと脱衣室の床はPタイルを採用。掃除のしやすいところがお気に入り
—— 自宅リノベの場合、住み替えとはまた違う、暮らしのアップデート感がありそうです。
奥様:1年に2回(工事前と完成後)の引越しでしたが、移動すること以上に、モノを手放すことがかなりハードでした。「こんなに大変なんだ!」と実感させられましたね。
—— どのように整理されたのですか?
奥様:お隣のご家族が一時的に海外に移住していて、私が荷物の整理で困っていることを話したら「うちに置いててもいいよ」と提案してくれたんです。それで、仮住まいのURには生活必需品だけを持って、あとはお隣さんのお宅へ運びました。そこで処分するかどうかを考える時間を確保しながら整理できたのはすごく助かりました。
齋藤:荷物の見直しはご自宅をリノベされた方が「やってよかった」とおっしゃることの一つで、皆さん身軽になるようですね。
奥様:本当に身軽になりますね。特に処分したのが、食器、衣類、書類でした。長く暮らしていると、知らず知らずのうちにたくさん溜まっているものなんですね。物量を減らせたことで、どこに何があるのかを把握できるようになったので、家全体の使い勝手がすごく良くなりました。収納をたくさん設けることは、我が家のリノベーションの大きなテーマでしたが、整理できた甲斐あって、今はまだキッチンの棚にもけっこう余裕があります。
▷ダイニングのライティングは奥様が選んだルイス・ポールセンのペンラントライト「PH 2/1ペンダント」が2灯
—— これからリノベをする方にアドバイスをするなら?
ご主人:当たり前かもしれませんが「目的」を決めることは大事だと思います。私たちの場合であれば「収納を増やしたい」とか。そこの優先度を決めておくことでしょうか。といっても、私たちも最初は「内装や設備を新しく綺麗にしよう」くらいしか考えていませんでしたが……。計画を進める中で生活動線や使い方を改めて考える機会があって、それで優先度が定まりやすくなった気がします。
—— 習慣になっている動き方や生活の流れをわざわざ考えることってないですもんね。
ご主人:入浴時なら、脱いだ服をすぐに洗濯機に入れられて、お風呂から上がったらすぐにタオルやパジャマを取り出せるようにする。そうすると、自然と脱衣所で作業を完了させられる。そんな感じで、自分たちの生活サイクルを見つめ直すきっかけになりました。だから、リノベーションを通して自分たちの生活をどうイメージしていくか、という感じだった気がします。将来のことも含めて考える機会になりました。
奥様:いつか息子たちが独立した後、どう変えていけば夫婦での暮らしの使い勝手が良くなるかな?とも二人で考えました。
ご主人:と言っても、深く考えて決断した!というわけではないですよ。たとえば、リビング側の子ども部屋の壁は躯体ではないので、将来的に取り払ってリビングをもう少し広くすることもできるね、とか。自由度をもたせておくという感じです。
奥様:玄関横の個室も、今は私の趣味である着物の着付けの練習部屋として使っていますが、玄関から居住スペースを通らずに直接入れるので、ゆくゆくはここで着付けを教えられたらいいなとも思っています。
▷収納扉の奥には奥様の着物を納めた桐箪笥と、なんとお仏壇!
▷納戸との間にある壁には通気口を設け、空気が滞らない工夫も。壁は漆喰で仕上げた
—— 個室はどのように使っていますか?
奥様:この部屋は少し離れた個室になっているので、子どもたちのオンライン授業や、私が仕事でオンラインミーティングに使うのにも便利なんです。タイミングが重なると、子ども部屋、ダイニング、ここと3ヶ所に分かれてそれぞれがオンラインにつなぐこともあります。
ご主人:家内の両親が遊びに来てくれた時はゲストルームとして寝室に使ってもらいましたね。
—— 臨機応変に使える部屋があるのは良いですね。
奥様:ここはもともと子供部屋でしたが、子どもたちもあんまり使っていなくて、私の中では「使えない部屋」というイメージで……。そうしたら、計画の時に齋藤さんから「この部屋は奥まっているので、居心地の良い部屋にしましょう。でないと、きっと使われなくなってしまう」と言われて、たしかにそうだな、と。それで照明や壁もこだわって選んだら、やっぱり家族みんなが好きな部屋になりましたね。
齋藤:リビング・ダイニングは光がたっぷり入ってとても気持ちの良い環境だけど、共用廊下側のこの個室は、光庭に開いてはいるけれど、暗い印象になりがちでやっぱり差は大きいかなど。それで、何かプラスの要素を加えて良い空間にしませんかとご提案しました。
—— ボロンの床も素足に心地良さそうです。
奥様:掃除もしやすくていいですね。
▷「自由な部屋」は玄関からダイレクトに上がる配置。床材はBOLON
▷みんなのアイドル トイプードルのマルタくん(1歳4ヶ月)。撮影中もかわいくポージングしてくれたおりこうさん
—— 新たにワンちゃんを迎えた暮らしはいかがですか?
奥様:次男と私が「飼いたい」と言って迎えたのですが、今はもう、主人と長男がマルタなしでは生きていけない状態です(笑)。
齋藤:多摩川の河川敷を散歩したりもされますか?
奥様:はい、今朝も行ってきました。息子たちもすごく協力的で必ず朝夕散歩しています。
—— 休日の朝、河川敷をご家族で愛犬を連れてお散歩なんて、まさに理想の暮らしですね!今日は素敵なお住まいにお邪魔させていただきありがとうございました。
▷ご長男が習っていたピアノのあるダイニング。父子連弾で発表会に出たこともあったそうです
家族団らんの際はよくボードゲームをされることや、毎年テーマを決めて家族写真を写真館で撮っていることなど、エピソードの端々にご家族の仲睦まじさの伝わってきた林様ファミリー。だからこそ完全に個室にしなくても、お互いに心地良い距離感で過ごせるのかもしれません。また、子ども部屋の設け方やボロンを敷いた個室などは、壁式構造の特性を上手に活かした間取りとなっていてとても魅力的でした。ご家族の和やかな空気感と、かわいいマルタくんに心が癒されたひとときでした。
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家族の状況の変化や設備の更新から自宅のリノベーションを検討された林様。近い将来にまた状況は変わることを想定しながら、「現在」に合った住まいの計画を考えて行きました。
躯体壁が多いことや必要なスペースも少なくないことから、「全てを取り払った広い空間」ではなく、「色々な場所を配置していく」方針で計画していたと思います。壊せない壁や設備配管ルートの制約調整はあったが、どの場所も少しずつつながることで、閉塞感がないことを考えていきました。また、小さな+αスペースは生活の様々なことを受け止めてくれるバッファスペースとして、生活を補い豊かなものにしてくれていると思います。
リノベーションを機会に、生活の物や日々の過ごし方を振り返られました。物からも身軽になり、整えられて手入れも行き届いているのに、それが無理のない自然な印象を受けたのは、習慣や価値観が反映されていたからなのかもしれないと、回想しながら思いました。これからも、その時々の状況に合わせて住みこなされていくことと思います。
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