一人暮らし/40〜60㎡
自分の“好き”を追求できるのはひとり暮らしの愉しみのひとつ。横浜エリアにお住まいのH様は「掃除がラク」「自宅で快適に働ける」「愛猫との清潔な暮らし」など、ご自身が大切にしたいことを中心に据えたリノベされました。特に、掃除が面倒だからこそ簡単にキレイを保ちやすい工夫にはユニークな発想がたくさん! “フツー”の垣根を取り払った家づくりの経緯やポイントを伺いました。
印象に残っているのが、1軒目の内見後の会話です。「どうでしたか?」と聞かれるものだと思っていたら、「Hさん、どういうペットを飼いたいですか?」と聞かれたんです。買う買わないよりも、買った後の生活のことを気にかけてくれているんだと感じました。暮らし方に話が広がるのは不動産屋さんとの違いかもしれません。
▷コンセントとケーブルトレーをデスク下に設置し配線を収納している
—— ワークスペースが広々していて使いやすそうです。
H様:オフィスだったら3人分くらいの広さがありますよね。プライベートでMac、会社でWindowsを使っているので、ディスプレイを横に並べて仕事ができる環境にしたいとリクエストしました。椅子を横にスライドさせるだけで公私を分けられるので便利です。ほとんど無限にモノを広げられるのも仕事がしやすくていいですよ。
谷口:デスクの奥にケーブルを通せる穴を開けて、デスク下にケーブル類をまとめられるようにしてあります。
—— 浮かせてまとめているのですね!
H様:ケーブル周りは埃が溜まりやすいので掃除をしやすくしたかったのと、それでいて猫がいじらない位置をEcoDecoさんと相談しながら調整しました。
—— ワークスペースとキッチンの繋がりも、面がすっきりしていて素敵です。
H様:繋げたかったというわけではなく、配管の位置や間取りを考慮したら、結果的にこの位置になりました。
谷口:リビングダイニングを広く取りたいとのご希望でしたので、キッチンを壁付けにするのがいちばん合理的でした。
H様:リビングダイニングを広くするぶん他のスペースの広さはあまり望まず、寝室は寝るだけ、浴室もシャワーだけ、といさぎよく割り切りました。
▷IKEAのキッチンは部屋の広さに対して少しコンパクト。その分デスクの長さをたっぷりと
▷エコデコ史上初めてのバスタブなしの浴室!既製品にはないカスタムはリノベの魅力
谷口:バスタブなしは大きなご決断でしたよね。社内でも「作らないんだ!」と驚きの声が上がりました。
H様:最初の打ち合わせで「自宅ではバスタブに入った記憶がここ10年くらいないのでいりません」とお伝えしたのを覚えています。バスタブって使わなくても汚れますよね。使ってもいないのにお風呂掃除のたびに洗わなきゃならないことがずっとストレスだったんです。バスタブ以外にもできる限り余計なモノはなくしました。
—— ここまで割り切った浴室はリノベーションでないとありえないですね。
H様:キレイ好き、整理整頓が好きというわけではなく、ラクをしたいだけなんです。バスタブもケーブル収納もすべては掃除が嫌いだから(笑)。カーテンレールもその一つです。最初は一般的な2枚用のカーテンレールを提案してもらったのですが「人生でカーテンを2枚かけたことがないので1枚用でいいです」とお伝えしました。
谷口:カーテンレールは2本が一般的ですが、不要であれば1本にすることも可能です。
▷シンプルな1本だけのカーテンレールは、キャットウォークに取り付けた
▷W2000のステンレスキッチンはIKEAでオーダー。食洗機なし、IHは2口とシンプルな造り
—— リノベならではのカスタムですね。他にもそういう工夫はありますか?
H様:キッチンに食洗機がないのもそうかな。あと、巾木が嫌だという話もしたかもしれません。
谷口:巾木も埃がたまりますからね。巾木はいらないとおっしゃるお客様は多いです。 クロスの壁の場合は巾木がないと仕上げが難しいですが、塗装であれば床との境にシーリングを打って仕上げることができます。塗装仕上げの壁にする方はほぼ巾木なしですね。
H様:掃除がしやすいよう極力凹凸をつけないようにしていただきました。
▷洗濯機の下に猫が入らないよう、H様が前板を設置した
▷すっきりとした洗面台。洗面台下のバーには普段はタオルやドライヤーを吊るしているそう
—— 掃除のしやすさを徹底されていますね。
H様:そうですね。すっきりさせてホテルライクを目指したというのではなく、とにかく実用性を追求した結果こうなったというか。
谷口:それが機能美に繋がっているのがすばらしいです。
—— 内装やデザインのイメージはスタッフとどのようにすり合わせていったのですか?
H様:設計が始まる時に好きなモノをPinterestに集めることを提案いただいて、最初は画像をいろいろと集めましたね。リノベーションの事例だと、板橋本町や氷川台の事例を参考にしました。それらを元に「そういうのがお好きでしたら、こういうのはどうでしょう?」と方向性やパーツを提示していただいて。キッチンの照明やクローゼットのルーバーの扉は、EcoDecoさんが紹介してくれたモノをそのまま採用しました。写真を集めるうちに「自分はこういうのが好きなんだな」と気づくこともあって楽しかったです。
谷口:提案に対して、いつもHさんも「あ、それで」っていう感じでおっしゃっていましたよね。
H様:コロナ禍で調達の遅延は多少ありましたが、モノ選び自体はスムーズでしたね。いろいろなご提案から少しずつそぎ落としていって今の状態に落ち着いた感じです。
—— そぎ落としたのはどんな部分ですか?
H様:最初に見せていただいた3つのプランから1つに絞ったうえで、予算や暮らしやすさを考えながらやめることや減らすことを決めていきました。象徴的なのは扉を減らしたことでしょうか。
谷口:洗面脱衣室も扉で区切る案がありましたが、最終的に、扉は玄関、寝室、トイレ、浴室のみにして他は全部なくしました。
H様:1人暮らしだから問題ありませんが、脱衣所に扉がないので着替えは丸見えです(笑)。
—— 物件はご自身で探されたのですか?
H様:最初はひとりで探していましたが、どんな風にリノベできるのかがよくわからなくて。リノベーション誌『relife+(リライフプラス)』でEcoDecoさんの記事を読んだのをきっかけに、オンラインセミナーに参加しました。ただ、正直に言うとその時点では「ひとりで探すより良さそうだな」くらいの印象でした。
—— なるほど。そもそも物件探しをされたきっかけは?
H様:賃貸だと先ほどお話したバスタブやカーテンレールなど、私にとっては不要なモノが付いているので、中古マンションを買ってリノベすること自体は、以前から考えていました。ただ、転勤が続いてなかなかきっかけがなくて。地方転勤が終わったタイミングで探し始めて、EcoDecoさんには2軒の内見に同行してもらいました。
谷口:1軒目も悪くなかったのでキープしつつ、さらによい物件を探して訪れたのがこちらでした。
H様:希望だった山下公園の近隣エリアからは少しずれていましたが、管理費が非常に安くて。そのメリットが大きくてこちらに決めました。
谷口:物件価格は同じでしたが、管理費を20年のランニングコストで比較すると数百万円の差が出たので、そこは大きかったですね。
—— EcoDecoのコーディネーターが同行することでこれまでの内見と違いはありましたか?
H様:違いましたね。ひとりだと価格とか広さとかスペックばかりに目が行っていたことに気づきました。印象に残っているのが、1軒目の内見後の会話です。「どうでしたか?」と聞かれるものだと思っていたら、「Hさん、どういうペットを飼いたいですか?」と聞かれたんです。買う買わないよりも、買った後の生活のことを気にかけてくれているんだと感じました。そう思えば、内見中も、僕が換気扇を見ていると「なんでここを見ていますか?」と尋ねてくれていたんですよね。猫のトイレをどこに置くかを考えながら見ていたのですが、暮らし方に話が広がるのは不動産屋さんとの違いかもしれません。
—— 物件そのものではなく、そこでの暮らしをイメージできたと。
谷口:もちろんリノベ前の部屋なので、なかなか具体的にはイメージしづらいとは思うのですが、物件を買う決断を促すというよりも、この部屋でどんなことができるかを想像できるようなご提案は心がけています。
▷廊下の一角に置かれた猫用トイレ。トイレにつながる吸気口があり、換気もばっちり
▷ぴったりサイズの空気清浄機も設置
—— 引っ越し後に猫ちゃんを飼い始めたのですよね。
H様:はい、猫を飼いたくてペット可の物件に絞って探しました。
—— やっぱり生活のリズムは変わりましたか?
H様:そうですね、引っ越し後のいちばん大きな変化です。在宅ワークだと座りっぱなしになることも多いですが、猫がいるとちょっと声をかけて立ち上がったりとリフレッシュにもなりますね。
谷口:猫との暮らしを想定して作り込めたのもリノベーションならではですよね。猫のトイレスペースをトイレの隣にして吸気口を設け、トイレの換気扇で臭気を吸い込めるようにしたり、さりげない工夫をちょこちょこと施しています。
H様::空気清浄機もぴったりのサイズで設置できてよかったです。
—— 匂い対策もバッチリなんですね。トイレスペースも空気清浄機も違和感なく溶け込んでいるので、ぱっと見では猫のための仕様だとは気づかないです。
H様:「猫のために!」というわけではないからかな。結局、主役は自分なので、自分が住みやすいところに住んでいたら、結果的に猫も住みやすい、という家にしたかったです。
—— キャットウォークや猫扉は使っていますか?
H様:キャットウォークは高い位置にあるからかあまり使っていないのですが、猫扉は初めて見つけた時からまったく迷わず出入りしています。あと、玄関扉から顔を出してくれたらいいなと思って、大きなガラスをはめ込んだ扉を選んだのですが、思惑どおりガラス部分から顔を覗かせて毎日出迎えてくれるのがすごく可愛いです。
—— その出待ちは可愛くてたまらないです。玄関は、ずらっと並ぶ靴も格好いいですね。
H様:靴は好きで集めています。玄関の上り框はオーソドックスに段にする案もありましたが、そうすると埃がたまりやすくて掃除が面倒なのと、年齢を重ねた時に転倒する可能性もあるかなと考えて傾斜を設けました。
谷口:手前に段を設けるか、 途中で上げるか、傾斜にするか。いろいろなパターンを工事中に現場打合せでご検討いただいて、こういう傾斜で決まりました。
H様:現場で実際に目視しながら傾斜の角度や位置を相談して決められたのはわかりやすかったです。
—— 将来のことも考慮されたということは、住み替えや賃貸に出すことは考えていないのですね。
H様:でないと、ここまでいじれないです(笑)。なかなかこの好みに合う方を探すのは難しいと思います。
—— 確かにバスタブがないとか、食洗機がないとなると…。
H様:普通の人にとったら致命的ですよ(笑)。
—— 仕事とプライベート、オンオフの切り替えはどうされていますか?
H様:在宅ワークですと時間帯に関係なく連絡が入ることも多いですし、明確なオンオフはないですね。どちらかというと1日中オンの状態なので、切り替えることよりも、オンの中でどう楽しく過ごすかを考えています。猫と暮らすこともその一つですし、歩いて20分弱で山下公園まで行けるので、よく散歩もしてします。往復で6000歩ぐらいなのでちょうどいい運動になるんですよ。元町や赤レンガ倉庫も散歩コースですし、もう少し足を伸ばせば桜木町にも行けます。
谷口:お散歩スポットがいっぱいですね!
—— 在宅ワークですと運動不足になりがちですもんね。
H様:猫だと散歩も必要ありませんから。
谷口:疲れたら電車で帰って来られる立地なのもいいですよね。
H様:そうなんです。
—— 今はご自宅でフルリモートですか?
H様:いえ、実は今は片道3時間かけて、週2回通っていて。
—— 在宅でお仕事できる日はなおのこと快適ですね。
H様:本当にそうですね。
—— 今後はどのように暮らしをアップデートしていきたいですか?
H様:買うよりも捨てるほうが好きだったりもするので、極力いらないモノは排除していきたいです。服とかはもっと減らせるかな、と。あとは、替えのシーツの置き場所に迷っています。今はバンカーズボックスに入れてベッドサイドに置いていますが、小さな棚を買って置くのもいいかなとも考え中です。気に入ったモノが見つかるまでじっくりと時間をかけて探すタイプなので、ゆっくり探すつもりです。家具は、失敗すると捨てる時に大変ですからね。
—— 購入前から捨てることを考えているのはさすがです。
H様:処分リスクが面倒くさいだけなんです。実用第一です。
—— その思考を経た結果、この美しく整った空間になるのが、H様邸ならではだと思います。
家具もお好きで、ソファやテーブルも「これだ!」と思えるビンテージ品を少しずつ買い集めてきたというH様。お部屋を案内してくださる中で、何度もおっしゃっていたのは「綺麗好きではなくて、合理主義、実用第一なだけです」という言葉。合理主義なのに冷たさはなく、ビンテージ家具のようにどこか柔らかな空気が漂っていたのは、厳選したぶん一つ一つのモノを大切に愛用されているからかな、と感じました。そして柔らかい空気のもう一つの源は、愛猫のロトくん! 取材時はたいていの猫ちゃんに警戒されるのですが(突然の来訪で驚かせているのはこちらなのですが、時には隠れてしまい一度も姿を見られないことも(泣))、ロトくんはおそらくこれまでの取材先で最も堂々と歩き回っていた気がします。撮影モデルとしても大活躍で、かわいい姿に和ませてもらいました。
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