-EcoDecoカメラマンの自邸-
ファミリー/81㎡以上
EcoDecoの事例撮影を担当しているYさんが、中古を買ってリノベーションされたと伺い取材へ。ふだんはリノベ後の写真がメインですが、「物件購入時から事例として掲載してもらう事を見据えて撮っていた」とのことで、リノベ前の画像もたっぷりです。100平米のリノベをどうコストダウンしながら理想の住まいを完成させたのか?ビフォー/アフターの比較画像付きで、リノベの詳細や経緯をよりわかりやすくご紹介できるスペシャルな事例となりました。
▷近隣の公園を親子でお散歩中。自然溢れる場所です
▷マンション敷地内には天然芝の広場があり、お天気が良い日は娘さんと遊ぶのだそう
―リノベのきっかけは?
ご主人:子どもが生まれたことですね。結婚当初は40平米1DKの都内のマンションに住んでいましたが、コロナ禍に入って二人ともフルリモート勤務になり、妻が寝室、私がリビングのソファで仕事をする日々が続きました。
奥様:寝室に無理やりデスクと椅子を入れたので狭くて、当時は仕事がしづらかったですね。
ご主人:そのような状況もあってもう少し広い55平米のマンションに引っ越した後、子どもが生まれました。すると、近くに公園がなかったり、マンションが坂道の途中に建っていたりと、子育てをするには周辺環境が整ってないことが気になり始めました。また、年齢的にローンを組んで働いているうちに完済するためのタイムリミットも迫りつつあり、買うなら今しかないとEcoDecoさんに相談しました。
―お子さんが生まれて街に対する観点が変化したのですね。家探しは1件目で即決だったと聞きました。
ご主人:当初は横浜界隈で70平米くらいの物件を探していました。このマンションは担当者の方から「環境が好みだと思いますよ」と紹介されていたのですが、予算より高かったので内見には至っていませんでした。探し始めて2ヶ月ほど経過して川崎にもエリアを広げて探していたときに、目をつけていたこの部屋が大幅に値下がりしたので、すぐに内見に行きました。内見したのはこのマンションだけですが、事前にたくさん下調べはしていましたし、同じマンション内で2部屋内見できたことで即決できたんです。
奥様:このマンションは築30年なのですが、もう一つの部屋はリフォームを一度もしておらずボロボロの状態だったので、悩むことなくこちらに決まりました。
ご主人:同じ価格にもかかわらず、この部屋は10年前にキッチンと浴室のリフォームをされていたので綺麗な状態だったのです。加えて、数年前にマンション全体で窓のサッシを自己負担で交換できる機会があったそうで、サッシが一新されてペアガラスになっていたことも好印象でした。
奥様:新しいサッシとペアガラスのおかげで、以前の住まいと比べて暖かくなりました。外の音も気にならなくていいですね。
▷before:リノベーション前のリビング。購入時点でサッシが新しくなっていたことも決め手のひとつだったそう。おかげで断熱、防音面で性能が向上しています
▷after:リノベーションでリビングを広げてお子さんのプレイスペースを作りました
―内見時にサッシを確認しているのは中古マンションならではのチェックポイントですね。
ご主人:サッシを取り替えている物件って少ないですよね。それと、マンション周辺の道路が、車と歩行者で動線が分かれていて、車道を避けて駅や公園まで歩いて行けることも安心感があって、子育てをするには良い環境だと感じました。
奥様:敷地内も緑が豊かです。家族3人で散歩をするにも気持ちよくて、そうした生活スタイルに変化できたのは本当によかったです。
ご主人:前の住まいでは、娘を安心して自由に遊ばせる場所があまりなく、気軽に散歩するのは難しかったです。今は、保育園も歩いて数分の場所にあり、非常に助かっています。
―実際にリノベを経験してイメージと異なる部分はありましたか?
ご主人:思っていた以上にいろいろと判断を求められるのだなと(笑)。
―仕様や素材など選択、決断する場面が多かったということですか?
ご主人:そうですね。プランを考えている時期は、ちょうど妻が出産準備に追われていたので、リノベのことは私が決めて進めなければならないことも多く、尚更そう感じたのかもしれません。
奥様:リノベ工事中に娘が生まれて、抱っこ紐で抱えて途中経過を見に行ったこともありましたが、余裕がなくほとんど夫に任せていました。私の意見を尋ねてくれるときは、夫がすでに資料や情報を揃えて、イエスかノーで答えるだけの状態にしてくれていることが多かった気がします。
ご主人:プレゼンみたいだったよね(笑)。「A案はこうなっています、B案だとこうです」みたいな。それと、前に住んでいた賃貸の更新日までに引っ越したかったので、EcoDecoさんには無理を言ってスケジュールを詰めてもらっていましたから、あえてゆっくりと吟味する時間は作りませんでした。
奥様:夫と比べると私はリノベの知識がなかったので、岡野さんから教えていただいた「動画で学ぶリノベーションセミナー」をYouTubeで見て、二重支払い(今の住まいの家賃と新居の住宅ローンが二重に発生する時期があること)について知りました。そこを考慮して全体のスケジュールを組めたことで余計な費用をかけずに済んだので、最初にあの動画でリノベの基礎知識を学べたのは良かったです。
▷リビング横にあった10帖程の個室を半分にして、寝室とプレイスペースに分けました。寝室はいずれお子さんの個室にする予定です
―リノベ全体の希望やプランは?
奥様:もともとは「子どもが過ごしやすい部屋になればいいな」と考えていたくらいでしたが、思いがけず100平米の広い部屋を購入できたので、土間を設けられたのはよかったです。玄関が広いとベビーカーも余裕を持って置けますし、何かと便利ですね。
▷広々とした玄関土間収納。引き戸を閉めると見た目もスッキリ
▷玄関ドアのすぐそばにはハンガーバーのコート掛けを設置しました
ご主人:ただ、夫婦で一致していたのは「仕切りがなくて広々とした空間」は望んでいないことでした。
奥様:リノベのプランをイメージするにあたって、夫の撮影したEcoDecoさんの事例を見返していたときに、それほど広いLDKを求めていないことに気付きました。夫婦ともにフルリモートで仕事をしていることが大きいかもしれません。
▷before:広めの個室でした
▷after:現在は奥様のワークスペースとして使っている個室は部屋の大きさは変えずに仕上げを変更。将来は夫婦の寝室になる予定です
―なるほど。リノベ=広いLDKのイメージもありますが、Yさん邸は各部屋を独立させていますよね。
ご主人:子どもの成長に合わせて部屋の「区切り方」を変化させるよりも、最初に個室を作っておいて各部屋の「使い方」を変えていこうと決めました。あと、収納も最初に決めたことでした。たくさんの物を素敵に飾る「見せる収納」には憧れつつも、私たちにとってはハードルが高いなと思っていたので、「隠す収納」でシンプルに暮らせる方向を目指しました。
―収納はお客様の中でも好みが分かれますよね。
ご主人:後からプチDIYで方向転換はしづらい部分もあるので、どちらの方向性にするかは最初に決めておきたいことでした。
▷各個室の押入を夫婦それぞれの個室をつなぐウォークスルークローゼットに改修。洋服はこのスペースに合わせて引っ越し前に処分。これ以上増えないように気をつけているとのこと
−この広さだからこそ叶ったことはありますか?
ご主人:自分の空間を持つ夢が膨らんだのは、この物件だったからかもしれません。基本的には子どものスペースが優先でしたが、この広さなら「自分の部屋が欲しい」と言えるというか(笑)。おかげで、仕事はもちろんですが、家族が寝静まったあと自室で晩酌しながらゲームを楽しむこともできています。
全てリニューアルしたように見える水周りですが、ユニットバスは比較的綺麗だったので、そのまま使っています。まずは、before/after画像のからご覧ください。
▷before:以前はキッチンへの動線があり、洗面室全体が通路のようなつくりでした
▷after:キッチンへのドアを無くし、空間全体が広く使えるような位置に洗面台をつくりました
▷before:洗面台が大きく作られていたので、入口も狭く感じていました
▷after:広さは変えずにドアの位置をずらし、引き戸に変更。タオルバーは二段つけました
―駅からの距離は、通勤がなければ許容しやすいですよね。部屋が広くなったことでリノベ費用も膨らみましたか?
ご主人:売主さんがリフォームをされていたので水回りを変えずに済んだのが大きくて、ほぼ予算内に収まりました。リフォームしてから10年前経っていたそうですが入浴後は必ず浴室の水滴を拭き取っていたそうで、鏡にも水垢ひとつないきれいな状態でした。
―10年使っていてもメンテナンス次第なのですね。
ご主人:浴室とキッチンだけで数百万円の減額になったと思います。
岡野:あとは間取りですよね。一見大きく変わったように見えて、実は壁や扉を取っただけの場所も多いですし、間取りをあまり変えていないことはコストダウンに繋がりました。
ご主人:シンクの前にあった壁は取り壊しましたが、キッチン自体はそのままですし、ダイニングの収納も、引き出しは既存利用で面材と天板だけを変えました。ダイニングには当初IKEAの棚を取り付けることを考えていましたが、岡野さんと現地調査に来た際に既存利用を提案していただきました。
▷テーブル奥のボードは天井まであった棚の上部を取り壊し、下部の引き出しを既存利用。面材が変わるだけでイメージ刷新!
―塗装ではなく壁紙にしたのもコストダウンを狙ってですか?
ご主人:これまでにEcoDecoさんの取材で撮影した部屋を思い出しても、塗装はやはり素敵でやりたかったことではありました。ただ、コスト面で厳しかったので、何か良い素材はないかと調べる中で塗装風の壁紙を見つけました。不織布に塗装してある壁紙で、一般的なビニールクロスに比べると下地処理などの手間がかかるため価格は高いですが、塗装と比べるとコストカットできました。部屋が広くなると必然的に床や壁の費用が膨らむので、この価格差は大きかったです。
▷たとえ費用はかかっても決して減額対象にはしなかったというフロートトイレ。掃除がしやすく背面も広々。やってよかったことの一つです
▷壁紙として採用したのは「エコフリース」。自然素材を主原料とした風合いのあるクロスです
奥様:私はずっとフロートトイレにしたかったのですが、通常のトイレよりも10万円以上高いので、実は何度も減額対象になりかけました。でも、当初から希望していたことだったので意思を貫きました。スペースを有効活用できて掃除もしやすいので、あきらめなくてよかったと満足しています。
―減額できれば良いというわけではなく、優先順位を明確にしておくのは大切ですね。
ご主人:マルチメディアポートもこだわったことの一つです。
―それは何ですか?
ご主人:家庭内の配線をまとめられるスペースです。TVやLANの接続コンセント、スピーカーのケーブル類やテレビ番組を録画するレコーダなどを1ヶ所に集めることで、機器やコードを隠せるので部屋がすっきりさせられるんです。新築マンションに住んでいたときは備え付けでしたが、築年数のある中古マンションでは最初からあることは稀なので、廊下に設けられるようリクエストしました。
▷Yさん自ら図面を書いてリクエストしたというマルチメディアポート。クローゼットの中に隠して設けることで部屋がすっきりと綺麗になりました
▷玄関ホール。マルチメディアポートが、左手奥のクローゼットの中にあります
奥様:在宅ワークを始めた当初、夫婦それぞれが同時にオンライン会議をすると、途中で切れて業務に支障をきたすことがあったので、ネットワーク環境は重要でした。
ご主人:前の住まいは有線LANのケーブルがなかったこともあり、ネットワークが不安定になることが多くて…。妻から「引っ越したらすぐにネットワークは繋がるかな?」と聞かれたときには「俺、システム部じゃん!」と突っ込んでしまいましたが(笑)、各部屋のネットワークはかなり配慮しました。
―在宅ワークが増えている昨今、家庭内のネット環境は死活問題ですもんね。
―DIYはされましたか?
ご主人:引っ越し後、必要に応じて棚を追加したりしているくらいですね。先日は自室の壁面に自分で有孔ボードを取り付けました。
ご主人:リビング奥のプレイスペースは、あらかじめレールだけ設けておいてもらい、引っ越し後に自分でガチャ棚を付けました。先日、妻から「飾れる本棚にしたい」とリクエストがあったので、パイプハンガーのパーツを使って本を飾りながら収納できる本棚を作りました。
▷向かって右のガチャレールに設けた本棚やデスクはYさんの自作
奥様:「こういうことがしたいな」と発注をすれば全部作ってくれるので本当に助かっています。
ご主人:キッチンの背面収納も天板の下に棚を一段自分で一段追加したんです。
―えっ! これですか? すごく綺麗!
▷木製のキッチンボード元々天板1枚のみだったものをDIYで棚板を追加。ゴミ袋などを収納しているそう
ご主人:生活するうちに、ゴミ箱の近くに新しいゴミ袋を置けるスペースがほしくなって。せっかく綺麗に作ってもらった家なので、ネットで木材を注文し頑張って自作しました。ビスが見えないよう溝加工して、後々たわまないよう背面を彫ってレールに挿せるよう処理をしてあります。
岡野:DIYのレベルじゃないですね。パントリーは棚板を外すと通路にもできますが、今はパントリーとして活用しているのですね。
▷リビングに隣接している寝室、将来的にはお子さんの個室になる予定。柔らかな黄色のアクセントクロスが可愛らしいです
▷自身で棚と引き出しをたくさん設けたパントリーは使い勝手抜群。下部は空けてあるので、ビールや水などの重い荷物は玄関から直接滑り込ませられます
▷before:突き当たりに洗濯機置き場があり、左手には脱衣室へ抜けられるようになっていました
▷after:パントリーになった現在の様子。キッチンは本体を生かし、面材やコンロ等の機器をリニューアル
ご主人:はい。通り抜けられたら楽だなと思うときもなくはないですが、下を開けているので重い荷物は玄関から直接滑り込ませられますし、不便はないです。
奥様:キッチンはなんだかんだ収納したいモノが増えますね。パントリーは収納の機能性がすごく良くて、今はこの状態が使いやすいです。
ご主人:これまでずっと賃貸に住んでいたので、動線や収納の規模を自分たちに合わせて作れると、キッチンの使い勝手の良さが段違いに良くなったことを実感しています。プレイスペースでいうと、最初は本棚を追加しましたが、娘が歩き回れるようになり、自身で好きな本を取りたがるようになったので、自分で本を取ったりしまったりできるように、デスクを設置したところです。
―住みながらどんどんブラッシュアップされていますね。マメで器用なYさんらしくて素敵です。今日はありがとうございました。
▷エビフライ、ほたてフライ、唐揚げと揚げ物満載のわんぱくプレート。揚げたてのおいしさは格別でした!
一緒に仕事をしていてもいつも先回りして考え、行動してくださる気遣いの人、Yさん。そんなYさんのご自宅は、マルチメディアポートの設置や、娘さんの成長に応じたこまめなDIYなど、Yさんらしい気遣いや思いやりがちりばめられていて、あらためて「住まいは人柄を表すなあ」と実感しました。また、インタビュー中に出てきた部屋を区切って独立性を保つことも印象に残りました。オンライン会議やキーボードのタッチ音など家族が発する音は意外と気になるもの。リモートワークが普及した昨今、夫婦それぞれに独立したワークスペースを確保することは、リノベに求められる新たな定番となりつつあるのかもしれません。
↓Y様邸の画像をまとめてご覧になりたい方はこちらから(Pinterestのサイトへ移動します。)
本プロジェクトは部分リノベーションですが、既存の間取をベースにしつつも新たな暮らし方(Y様の希望)を実現するためにはフルリノベーションの時と同じように間取の可能性を探ることから始めました。
不要な一部の壁のみを部分的に撤去しただけでも、その場所をどのように(何に)使うかによって結果は大きく変わってきますので、新たな間取りでどんな暮らしができるのかをイメージしていただく事がリノベの規模に関係なく大切なことだと思います。
また、既存利用に関して施主と一緒に現地で打ち合わせを行ったことで図面だけでは思いつかない活用方法などが見いだせたり、解体部分の整合性をとるための調整が必要だったりと、部分リノベの場合は特に現地/現場での対応も重要なポイントといえます。施主と一緒に臨場感ある打ち合わせが行えたことが、Y様の部分リノベ成功のカギだったと思います。
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