ファミリー/81㎡以上
2020年に約80平米の中古マンションを購入され、プチリノベをしたTさん。間取りや水回りなどをほとんど既存利用し、床や壁紙の張り替えと照明計画に絞ってプチリノベーションされました。リノベは最小限でしたが、暮らす中で奥様のセンスとお父様のDIY技術が加わることで、暮らし始めてから4年が経った今も日々進化中。「暮らしをつくる」を体現されるご家族の暮らしの風景をお届けします。
とにかく明るさがほしかったので、リビングの壁面がほぼすべて窓というこの間取りは、本当に「出会えた!」という感じでした。ただ、築36年を超えていることや耐震性の不安があり、後日、エコデコさんに相談したところ、理事会の議事録や建物の管理状況を確認してくださった結果、管理体制もしっかりしていて耐震補強もしていることがわかって。「すごく良い物件だと思いますよ」と背中を押してもらえましたし、私たち自身もこんなにビビッとくる物件は他になかったので「大丈夫だ!」と自信を持てました。
▷お話を伺ったTさんファミリー。会社員のご主人とフリーランスデザイナーの奥様、娘のIちゃんの3人家族
―和室の前の廊下は日当たりも良くて雰囲気がいいですね。
ご主人:隣の和室も含め、購入した時点でこの間取りでした。廊下に日が差し込むとまるで縁側のようで、家の中でも気に入っている場所のひとつです。私の祖父の家が縁側のある平屋だったのでこの廊下はなんだかその光景を思い出します。
▷マンションの7階ということを忘れそうな眺望。外壁や植栽のおかげかバルコニーが戸建ての庭のように感じます
奥様:同じマンション内の友人宅に遊びに行くと、和室の前に廊下はなかったので、おそらく前の住人の方が大規模改修をして間取りを大きく変えていたようです。
―玄関から離れた場所に廊下があるお部屋は初めて見ました。
▷ベランダ沿いの廊下はリビングから書斎へと繋がっています。和室の雰囲気と相まってムードは完全に縁側!
▷玄関からキッチンへとつながる土間スペース。もともと繋がっていましたが扉を撤去してより使いやすくリノベしました
ご主人:探してきたなかだと、窓はベランダにつながるリビングだけという間取りが多かったですが、ここは建物の形自体が少し変わっているので、室内に窓も多いです。おかげでリビングから窓越しにマンションの外壁が見えるところも気に入っています。なんとなく一軒家っぽい感じがしませんか。
―たしかに。ベランダの植栽がお庭のようで7階とは思えない眺めです。
岡野:今までこんな間取りの物件は他に見たことがないので、とても珍しい物件だと思います。
―EcoDecoとは物件探しからのお付き合いですよね。
奥様:妊娠中に探し始めました。予算や条件が合わずなかなか希望の物件に出会えなくて出産前後はお休みをしましたが、トータルでかなりの数を見たと思います。30軒くらい?
ご主人:時間帯を変えて2回行った物件もあったから、それくらい見たかもね。EcoDecoさんには本当にあちらこちらに付き合っていただきました。
奥様:とにかく明るさがほしかったので、リビングの壁面がほぼすべて窓というこの間取りは、本当に「出会えた!」という感じでした。内見した日は曇っていましたが、景観と日当たりの良さが伝わってきて「ここだー!」と思いました。
岡野:玄関を出た瞬間に「ここに決めます!」とおっしゃっていましたよね。
ご主人:ただ、築36年を超えていることや耐震性の不安があり、後日、EcoDecoさんに相談したことを覚えています。
奥様:岡野さんが理事会の議事録や建物の管理状況を確認してくださった結果、管理体制もしっかりしていて耐震補強もしていることがわかって。「すごく良い物件だと思いますよ」と背中を押してもらえましたし、私たち自身もこんなにビビッとくる物件は他になかったので「大丈夫だ!」と自信を持てました。
岡野:やはり決め手はリビングの窓と景観でしたよね。
奥様:はい。引っ越して数年が経ちますが、キッチンからリビング越しの景色を眺めるたびに「良いな〜」としみじみしています。特に春や秋は風が抜けて最高で、「ここにしてよかった!大好き!」と心から思います。
▷広いキッチンは料理がしやすく、ご主人いわく「料理が以前よりも断然楽しくなった」そうです
―当初はフルリノベのご予定でしたよね。
ご主人:はい。フルリノベを前提に、webサイトで事例を見て一番かっこいいと感じたEcoDecoさんにご相談したのですが、ここはそのままで希望していた間取りに近くて、フルリノベをしなくても叶えたかったことは実現できそうだな、と。それと、物件価格が当初の予算を少し超えていたので、リノベ費用を縮小したいという思いもありました。
奥様:内見した中にはリノベ済み物件もありましたが、そこをフルリノベをするなら綺麗なモノを壊すことになるので、どこか積極的になれない部分もありました。その意味でも、この物件は間取りも水周りも既存利用したい部分が多くて、無駄になるモノが出なくて済みそうでよかったです。物件価格は予算を上回ったとしても、そのぶんリノベ費用の折り合いもつけやすかったことも購入を決めた理由の一つでした。
ご主人:和室もそうですし、キッチンカウンターも現状のままで気に入っていましたし、リビングの床材もすごく雰囲気が良くて。キッチンも前の住人の方が6年前にリフォームして綺麗だったのでそのまま使っています。
奥様:リビングはアメリカンチェリーの良い床材だったのでそのまま使うことにして、収納を撤去した箇所など、一部足りない部分を同じ材で足していただきました。
ご主人:天井も抜いたら高くできたので躯体表しにしていただきました。結果的にリビングダイニングは広い箱のような状態になったので、家具やラグで仕切って使っています。
奥様:間取りを変えずとも私たちが思い描いていた生活動線、たとえば玄関から各部屋へアクセスするには必ずリビングを通るようにしたいことや、キッチンと玄関土間はつながるようにしたいことは叶えられました。私たちの理想とこの家がもともと持っていたポテンシャルがうまく重なったおかげで、リノベがミニマムに収まりました。
―実際にリノベしたのはどのあたりですか?
ご主人:壁紙のクロスはすべて張り替え、床材もフローリング以外は替えました。和室の畳表も張り替えています。あとは廊下からリビングにつながる扉も取り替えました。ガラス扉にしたことで廊下に光が入って明るくなりましたね。キッチンや洗面のタイルは工務店さんに教えていただきながらDIYで貼りました。
奥様:キッチンの吊り下げの棚は、元々キッチン本体と同じペールグリーンでしたが、工務店さんから「面材を変えれば印象が変わりますよ」とアドバイスをいただき、扉をラワン材に付け替えてもらいました。
―このキッチンのグリーンはなかなかインパクトがありますね。
奥様:自分たちでは絶対に選ばない色ですが、せっかくだから活かしてみようと、吊り下げ収納の面材はこの色に合う色を考えました。
―キッチンのミニテーブルもDIYですか。
奥様:はい、2×4の木材からDIYしました。キッチンが広いので「飲食スペースを作れそう」とテーブルを置いたらすごく便利で。もし自分たちで間取りをイチから考えていたら、きっとキッチンはもっとコンパクトにしたと思うので、既存利用だからこそ生まれた発想でした。子どもが食べこぼしをしても掃除しやすい床ですし、子どもの様子を見ながら料理もしやすくて一番活用しているスペースです。
▷話に出ているのは、白い壁付の半円型テーブル。リノベ時に取り付けたキッチンボード上の棚は、インテリア性と実用性を兼ね備えた奥様のお気に入りスペース
ご主人:両親や友人が遊びに来たときはダイニングを使いますが、ふだんは家族3人がこのテーブルで食事をしています。私自身も気に入っているスペースです。音楽もかけられて、本もお酒もあるし、好きなモノに囲まれているのでこの一角だけで十分くつろげます。
―DIYも積極的にされたのですか。
ご主人:そうですね。岡野さんはご自宅も積極的にDIYされているので、お話を伺ったりブログを拝見したりしていると、「私たちにもできるかも!」と思えました。岡野さんの後押しがなかったら自分たちでタイルを貼ろうとは思わなかった気がします。でもやってみると意外とできることがわかって、そこからは特に妻は躊躇しなくなりましたね。廊下とリビングの間の扉は、岡野さんに教えていただいたワトコオイルを今も定期的に塗ってメンテナンスしています。
奥様:工務店の皆さんもすごく良い方たちだったよね。DIYの作業日をスケジュールに組み込んでくださって、いろいろと教えていただきました。以前の住まいからすぐに来られる距離なのもよかったです。今よりずっと幼かった娘を連れて気軽に来られて、タイルを貼ったり壁を塗装したりできました。もし遠方だったら娘を連れてのDIYは難しかったと思います。
▷寝室にしている和室。ここに暮らし始めたのを機にベッドから布団に切り替えました
―和室には立派な神棚もあるのですね。こちらも既存利用ですか?
奥様:いえ、ここは神棚ではなく、以前はエアコンを置いていたスペースです。柱と一部の板を既存利用しながら、父に神棚のような雰囲気に作り替えてもらいました。和室は他にも手を加える余地はあるかなと思いつつ、これはこれで気に入っているスペースですね。
ご主人:ここに布団を敷いて寝室として使っています。
―押入れの木の襖もかっこいいですね。
奥様:以前は障子紙が貼られた襖でしたが、娘が蹴破ったのを機に父に製作を依頼しました。
―お父様もDIYに協力的なのですね!こんなに大きな襖はどこで作業をされているのですか。
ご主人:妻の実家で。ある程度完成したモノを持って来て、うちのベランダで塗装や組み立てをして現場合わせをしてくれます。実は、リビングや洗面室の棚、キッチンや書斎のデスク、テレビ台もすべて義父が作ってくれたモノです。
▷IKEAの洗面をベースに面材をラワンに交換。そして正面の壁にはタイルをDIYで貼りました
▷キッチンにも繋がる玄関は土間のような雰囲気。リビングとの間の扉をガラスにすることで窓のない玄関も明るくなりました
奥様:いつも私がイラストレーターを使ってデザインラフを描いて、それを元に父が図面を起こして送り返してくれるんです。それを私が確認して正式発注するという流れで作ってもらっています。家族の中では「フミオ工房」と呼んでいます(笑)。リビングにある棚は娘の保育園用の荷物を無印良品のカゴに分類して入れたかったので、カゴのサイズもミリ単位で指定してラフを描きました。実はこの棚は細かくこだわって、面材もラタンにしたので材料費がかさみました。DIYを始めてから意外と費用がかかることを学びましたね。
▷奥様とお父様の共同製作から成る「フミオ工房」のデザイン図面。こちらはリビングのチェストの依頼時のものです
ご主人:棚の脚は、義父が義祖父の家で見つけた碁盤の脚を再利用しているんですよ。義父はエンジニアで図面を引くのも得意で、手先もすごく器用なんです。私たちは古いモノが好きなので、ほしい家具があるとまずはヴィンテージを探すのですが、なかなか希望のサイズにぴったり合う家具はないので、本当に義父には感謝しています。
奥様:私が一人暮らしをはじめてすぐの頃、ワンルームの狭い家でも使いやすいようにと、父に折り畳みの本棚とテーブルが一体化した家具をつくってもらったのがきっかけで、引っ越すたびに部屋に合わせて家具を作ってもらっています。でも、まさかこの家でもこんなに作ってもらうとは思っていませんでした(笑)。
ご主人:義父の集大成の家だね。
奥様:「もう欲しいモノはないんじゃないかな?」と言いつつも、意外とまた必要なモノが出てくるんだよね(笑)。今は和室と廊下を隔てる襖を木材に変えたくて相談中です。
―引っ越し後に家具はかなり刷新されたのですね。
奥様:そうですね、以前の住まいは40平米もなくてかなりコンパクトだったこともあるかもしれません。倍くらいの広さになりましたね。
ご主人:リビングが広いのと窓が多いお陰か、友人が遊びに来るとみんな「広い!」と言ってくれますね。
―ご出産の前後で物件探しをされましたが、お子様が誕生したことで希望条件や考え方に変化はありましたか。
ご主人:そこは特になかった気がします。ただ、物件探しの段階では、私はそんなに広さは求めていませんでした。ところが、購入直後にコロナ禍に突入して夫婦で在宅勤務がはじまったので、タイミングよく広い部屋に引っ越せたのは本当によかったです。オンライン会議が重なったときに、それぞれ別の部屋で仕事ができるのは助かりました。今は自然と私が奥の書斎、妻がリビングのワークスペースを使うことが多いです。
▷まだあまり手を加えていないという書斎。Rのラインが印象的なデスクは、奥様が初めての一人暮らしの際に作ってもらった「フミオ工房」の初作品をリメイクしたもの
―奥様は最近フリーランスに転向されたと伺いました。
奥様:元々グラフィックデザイナーとして仕事をしていたので、今は紙媒体やロゴ制作のお仕事をしたり、先日は雑誌の挿絵を描いたり、少しずつ輪が広がっているところです。
ご主人:妻がSNSに投稿する家の写真や動画がきっかけで取材をしていただくことも多いです。この街のコミュニティ内やSNSで繋がった方との仕事も少しずつ増えているよね。
奥様:まだフリーになって数ヶ月なのですが、今後10年かけて土を耕すつもりでのんびりと考えています。
―ご自宅にいる時間が増えることで部屋の使い方も変わりそうです。
奥様:ゆくゆくは書斎を変えたいなと考えています。今は主人が在宅ワークの日に使うワークスペースになっていますが、シルクスクリーンや電動のこぎりを使った作業をしたいので、汚れても良いよう床を張り替えてアトリエにしたいです。
―日々DIYでアップデートされているのですね。
奥様:他にもやりたいことはたくさんあります。でも、数年かけて少しずつやっているので、けっこう時間はかかっていますね。あと、いずれどこかのタイミングでもう一度EcoDecoさんにリノベを相談したいなと思っています。DIYで工夫しながら暮らすことはすごく楽しいのですが、いろいろとDIYに挑戦したからこそ、プロに依頼しないと叶わないこともあると気づきました。たとえば、今、洋服はある程度和室にまとめていますが、これをウォークインクローゼットにしようとすると、DIYではなかなか難しいです。部屋を区切って個室を作ることも自分たちではハードルが高いなと感じています。
―お子さんが小学生になるとまた状況もいろいろ変わりそうです。
奥様:そうですね。最初にフルリノベできなかったぶん、今後に楽しみが残っていると捉えて、今は計画を暖めています。
▷インテリアはすべて奥様が担当。躊躇することなく壁に穴をあけたり塗装をしたりと時に大胆なDIYも日常の一部として楽しんでいらっしゃいます
他の事例紹介と比べると、リノベのボリュームは少なかったT様邸ですが、住まいに対する愛着とDIY魂は、EcoDecoのコンセプトである「暮らしをつくろう」そのもの。家の隅々からその熱量が伝わってきました。中古を買ってリノベをすることが目的ではなく、それによってどういう暮らしを叶えたいのか。それは家族構成や環境によって日々刻々と移ろいゆくもの。そうした変化や揺らぎを受け止め、楽しみながら家と共に生きていくことは、リノベーションやDIYの醍醐味だと感じました。
T様邸の画像をまとめてご覧になりたい方はこちらから(Pinterestのサイトへ移動します。)
不動産探しから施工まで、リノベーションに関するあらゆるご相談に、幅広くお答えします。リノベーションコーディネーターが無料個別相談会を行っていますので、お気軽にご予約下さい。まずは、じっくりとお話ししてみませんか。
ご予約はこちらから