一人暮らし/40〜60㎡
イギリス留学を経て、ヨーロッパの住まいや暮らしに影響を受けたO様。帰国後、中古マンションを購入し、自宅兼オフィスとしてフルリノベーションをされました。 40㎡台とは思えない広々とした空間には、アアルトの自邸を参考にしたラワン材の壁や、ポルトガルで出会ったコージーな黄色い壁…。ヨーロッパを旅して出合ったインテリアの記憶が随所にちりばめられ、温もりあふれる住まいが完成しました。O様が留学中に得たインスピレーションや、家づくりで大切にした視点と今の暮らしについて、お話を伺いました。
オンラインでいろいろなリノベーション会社の説明会にも参加したり不動産ポータルサイトから物件を探しましたが、思いのほか難航。「このままではマンション選びを見誤るかも」と懸念していたときに、物件探しからご一緒できるEcoDecoさんと出会いました。マンション購入やリノベーションは、未知数だからこそ楽しみな半面、やっぱり不安もあったので、不動産仲介からお願いできることはとても心強かったです。
——イギリス留学はお仕事ですか?
O様:個人留学です。1年間休職して仕事にも関わる領域を大学院で学びました。コロナ禍を経て会社の勤務体制がリモート中心に変わったので、帰国後は自宅で仕事をする予定でしたが、留学先で住環境に対する考え方が変わったこともあり、「あの9畳のワンルームで過ごすのはもう無理だ!」と。帰国の1ヶ月前くらいからオンラインでいろいろなリノベーション会社の説明会にも参加しました。それと並行して不動産ポータルサイトから物件を探しましたが、思いのほか難航して……。
——どうような部分で難航したのですか。
O様:たとえば物件の価値が新耐震か否かで変わることや、住宅ローンを組むにもさまざまな条件があることなど賃貸物件の探し方とは全然違うんだと気づいて、選び方がわからなくなってしまい……。「このままではマンション選びを見誤るかも」と懸念していたときに物件探しからご一緒できるEcoDecoさんと出会いました。マンション購入やリノベーションは、未知数だからこそ楽しみな半面、やっぱり不安もあったので、不動産仲介からお願いできることはとても心強かったです。
——その後の物件探しはスムーズでしたか?
O様:そうですね。EcoDecoさんからご紹介いただきつつ、自身でも不動産のポータルサイトに希望条件を登録して新着情報を毎日チェックしていました。ここは広さ、オフィスへのアクセス、価格などが条件に合っていたことと、内見した際に視界も抜けていて気持ちよかったのですぐに気に入りました。結果的に帰国早々リノベーションを始めたので、周りからは「思い切りがいいね!」と言われています(笑)。
▷洗面スペースからのこの眺めがO様のお気に入り。「毎朝、ここで歯磨きをしながら『さあ仕事するぞ!』と気分を上げています。」
▷寝室に設けた収納は主に書棚として活用。学生時代から続けている合唱用の大きな楽譜も余裕をもって入れられます
——理想像やゴールは明確にあるほうですか?
O様:意識的に明確にしていたかもしれません。私が判断できないことでプロジェクトを中断させたくないという思いが強かったので、進行を止めずに迷える期間を知りたくて「これはいつまでに決めればいいですか?」とよく伺っていた気がします。
齋藤:常に全体の進行を気にしてくださいましたよね。
O様:そうですね。ただ、「今週はこれを決めるぞ!」「これはどういう判断軸で決めようかな?」と悩みながらも一つずつ順番に決めていく過程がとても楽しかったです。
齋藤:物件購入などの大きな選択ももちろんですが、家づくりには細かい検討と決定が多いですからね。その過程を楽しんでいただけたならよかったですし、共同プロジェクトと捉えていただけたことは、私たちとしてもありがたかったです。
▷浴室はマイナスオプション。浴室は掃除がしやすいようユニットバスをベースに鏡や水栓、手すり、棚などをカットしました
▷浴室乾燥機で室内干しをする想定でしたが、ベランダが気持ちよくて外干しをすることが増えたそうです
O様:EcoDecoの皆さんにリードしていただいたので、まったくストレスもなかったですね。「今週はここですね!」「次はコンセントですね!」と、RPGをクリアする感覚で取り組んでいました(笑)。それと、EcoDecoの皆さんは、私がアイデアや希望を出すと、まず肯定してくださるんです。リビングの壁を黄色にしたいことや、トイレの壁紙を派手にしたいことも、「いいですね!」と肯定してくれたおかげで、気持ちを後押ししてもらいながら楽しめました。
——特に楽しかったのは?
O様:最初に3案の間取りをご提案いただいたときですね。A案、B案は既存の間取りを生かした案だったので、思い描いていた間取りになんとなく近かったんです。でも、選んだC案はキッチンを居室側に出すし、水回りの位置もガラッと変わる案だったので、まったく想定していなくて。「うわー! やられた!」と思いました(笑)。1人では辿り着けない間取りだったので、EcoDecoさんに頼んでよかったと感じた瞬間でした。
▷キッチンは黒にすることも検討していたそう。どこまで“ハンサム”にするかを熟考した結果白で統一されました
——想定外の案を選ばれたO様のご決断も素敵です。
O様:たしかに想定外ではあったものの、完成図もしっかりとイメージできました。洗面台を玄関脇に出す合理性や、楽譜などの大型本もすべておさまる本棚など、一つ一つに納得感がありましたね。唯一懸念していたのは「壁付けのキッチンをきれいに使えるか」でしたが、そこも結果オーライで問題なかったです。
——「きれいに使えるか」というのは?
O様:以前の間取りではキッチンが奥まった場所にあって居室スペースから見えなかったことも、物件購入時に気に入っていた点でした。それを見える場所に出すとなると、生活感が出てしまうのではないかと少し抵抗がありました。
▷炊飯器やケトルなど生活感の出やすいキッチン家電は引き出しの中に収納できるようにしました
▷ショールームに何度も足を運んで決めたタイル。縦に貼ることは海外のインテリアに着想を得たそう
——シンプルなカウンターにされたのは生活感をなくすためでもあるのですか?
齋藤:コンロをIHにして五徳をなくしたり魚焼きグリルをなくしたりと、“キッチンらしさ”をなるべく排除する方向にしましたよね。
O様:自宅では魚を焼きませんし、料理が趣味というタイプではないので「IHの2口で充分です」と伝えたことをはっきりと覚えています。炊飯器やケトルもすべて収納できるようにしているおかげで、きれいな状態を保つことができています。吊戸棚がないので収納が足りるかを心配していましたが、齋藤さんから「サイズを測って、入れたいモノが収まるか確認してみてください」と言われて試算すると、吊戸棚がなくてもスペースに問題がないことがわかりました。引っ越して1年経ってもまだ収納には余裕がありますし、空間が広く見えるのでつけなくてよかったです。
——常識やメーカー標準ではなく、自分の持ち物やしたい暮らしを軸にして判断することは大切ですね。
O様:間取りを大きく変えるC案でいこうと決めたあと、齋藤さんから「この図面の家に住んでいる気持ちになって、ちゃんと1日快適に生活ができそうかを想像してみてください」とおすすめされたことも印象に残っています。朝起きて、顔を洗って、お水を飲んで……と生活している様子を1週間くらい妄想して過ごしていました(笑)。そうすると「家を出る時にスイッチの位置はどこが良いんだろう?」など、細かな仕様にも目がいくようになりました。
▷テレビ台は立川の駅前の古道具店で購入。大きなチェストはここに引っ越してからDIYでニスを塗装
——部屋づくりに関して留学中に触発された点はありましたか?
O様:イギリスでは住居をカスタマイズするのは当然で、賃貸暮らしの友人たちも、大家さんに相談しながら壁を塗装したり棚を取り付けたりと「原状回復できないんじゃない!?」と思うようなDIYを楽しんでいました。その姿に驚きつつも「自分好みの心地よい空間づくりを探求して良いんだ!」と気づけたことは大きいですね。
——日本の賃貸ではなかなか難しいですもんね。
O様:はい、とても新鮮でしたね。それと、留学中は月1回くらいのペースでヨーロッパ周辺を旅して全部で13カ国回ったのですが、そこで見た光景も家づくりに活きていると思います。特に、ポルトガルやスペインは赤や黄色のカラフルな壁が印象的で、南欧特有の温かい雰囲気に惹かれました。
——黄色の壁は南欧でインスピレーションを得たのですね。
O様:ポルトガルの港町ポルトを旅した時に宿泊したユースホステルの壁を参考にしました。運河に面したワイナリーをリノベーションしていたのですが、明るいけれどチカチカしない色使いの壁がコージーな雰囲気でとても素敵で。その色を思い出しながらリビングのアクセントカラーを決めました。
——ダイニングのラワンの壁も落ち着きがあって、どこか温かな雰囲気がありますね。
O様:留学中にフィンランドを訪れた際にアアルトの設計した図書館や書店にも足を運びました。アアルトの自邸のような雰囲気を取り入れたくてラワン材を壁に採用しました。
齋藤:ラワン材は木目がなるべく静かなものを施工会社さんに選んでいただき、赤みの染色を施しています。
O様:北欧家具も好きですし、躯体表しなどのワイルドなインテリアも好きでしたが、留学先で明るい色遣いやタイルなど新しいインテリアに出会い、このほうが私の好みだと気づきました。今振り返ると家づくりをする中で、ヨーロッパで見たさまざまなインテリアや、友人たちのDIYに対する姿勢には、大きな影響を受けていたように思います。
▷ベージュのタイルカーペットは東リのパイル状のものをセレクト。オフィス(ダイニング)部分のモルタル床とのコントラストが効いています
——リビングと寝室がカーペットなのは珍しいですね。
O様:そうですよね。最初のご提案ではフローリングでしたが、タイルかカーペットにしたいと伝えました。
——それも留学時にご覧になったインテリアの影響ですか。
O様:カーペットは幼いころ、近所の方に連れて行ってもらった避暑地の別荘をイメージしました。そこで過ごした時間が好きで、今も思い出すたびにワクワクするんです。ダイニングはオフィススペースとしても使っているのでモルタルで事務所みたいに、リビングと寝室はカーペットで別荘みたいにして、完全に雰囲気を分けたいという意図もありました。ただ、カーペットはやっぱり多少の手間はかかりますね(笑)。なるべく頻繁に掃除機をかけたり、食べ物を食べる時にも気を配ったりと、フローリングと比べると取り扱いの大変さはあります。でも、温かくて心が和むこの雰囲気は、変えがたい魅力だなと感じていますし、本当にカーペットにしてよかったです。
齋藤:カーペットの柔らかい心地良さは独特の魅力がありますよね。ライトグレーにアクセントのイエローが映える明るいリビングと、硬質なモルタルにラワンを合わせた落ち着いた色味のダイニングで、雰囲気が変わります。
O様:タイルカーペットなら1枚から張り替えもできるので万が一に汚してしまったときにも安心です。ダイニングのモルタルは冬の寒さが心配でしたが、1年過ごす中で寒さはあまり感じませんでした。
——引越し後、暮らしに変化はありましたか?
O様:美味しいモノを美味しく食べられるようになった気がします(笑)。というのも、以前の家はワンルームマンションをほぼオフィスのように使っていたんです。起きてすぐに仕事を始めて22時までほとんどノンストップ。深夜までベッドの中にPCを持ち込み、翌朝もまたすぐに仕事を再開、という生活でなかなか心が休まりませんでした。実は、引越し後も部署異動で初めてのことが多く、忙しさはそれほど変わらないのですが、オフの時間を過ごす場所をかえることで、以前よりもうまく切り替えができるようになりました。
——お忙しいんですね。お仕事はダイニングテーブルでしていますか?
O様:はい、仕事をしても食事をしても誰ともかぶらないことは、1人暮らしの醍醐味なので(笑)。
——たしかに!オンオフの切り替えはどのように工夫していますか?
O様:きっぱりと仕事を片付けられる日は少ないのですが、例えば仕事の時と食事の時では、使う椅子を変えることで切り替えています。ちょっと頑張りすぎだと感じるときにはダイニングには行かず、覚醒する時間がないよう照明を落としてソファで過ごしています。
——照明が明るいと強制的に覚醒してしまうのはわかる気がします。
O様:リビングと寝室は天井に照明を設けていません。土日はベッドサイドのスタンドライトだけで過ごしていることが多いです。引っ越してすぐのころ、試しにリビングにペンダントライトをつけたのですが、せっかくの天井高が活きなくて結局外しました。ダイニングにつけたルイス・ポールセンの照明が気に入っているので、そちらを引き立てるためにも、リビングにメインの照明はなくても良いかなと。もしお気に入りの照明に出合えたら、チェストの上に置くのは良いかなと想像しています。チェストは空間の切り替えにも役立っている気がします。
——そうですね。家具のレイアウトもとてもお上手です。ソファーの配置もユニークですね。
O様:ソファーは何度も位置を変えています。先日届いた枝物の植物が、ベッドサイドに花瓶を置くと良さそうな雰囲気だったので、花瓶を置くスペースを確保するために、最近ソファを斜めに置き換えました。
▷ソファはIKEA、フロアライトはオンラインで購入したノーブランド。自分軸でモノ選びができるセンスの良さと審美眼を感じます
——家の中に植物をたくさん飾られていますよね。
O様:以前はあまり日の当たらない部屋に住んでいたので植物を置いていませんでしたが、日当たりも良くなり広くなったので、植物の定期購入をはじめました。旅先で少しずつ花瓶も買い集めています。それと、引越し祝いにも観葉植物を2ついただきました。
▷洗面台は玄関のすぐ横に。脱衣スペースから洗面台を出すことで、来客時にも気兼ねなく使いやすく。棚板は玄関やダイニング同様にラワン材で統一しています
▷インパクト大の壁紙!居室エリアからからは想像もつかない大胆な壁紙はDIYで。照明の結び方も楽しくて素敵です
——DIYには挑戦しましたか?
O様:壁の塗装やトイレの壁紙をDIYしました。リビングの窓はカーテンにするかブラインドにするかをなかなか決められず、引っ越し後にDIYでバーチカルブランドを取り付けました。照明も引越し後にいろいろと試していますし、大きなチェストは引越し後に自分でニス塗装をしました。
——積極的にDIYを楽しんでいらっしゃいますね。
O様:住みながら自分好みに少しずつ変えて楽しんでいます。もう少し今の状態を満喫したら、洗面台の壁の色をメキシカンレッドというか、オレンジっぽい赤に塗り変えたいなとイメージしています。この部屋を購入した段階では一生住み続けるかわからなかったので、造作を増やして作り込んだりはせず、誰にでも使い勝手が良いようにしているんです。
▷洗面と浴室の間にWTCを設けて空間を有効活用。来客時は引き戸を閉めてプライベートな空間の目隠しに
▷梁と壁の隙間を活用した小さな収納。空間を有効活用する工夫があちらこちらに隠れています。
——だからDIYを楽しむ余地もたくさんあるのですね。売却の可能性はまだ未知数ですか。
O様:そうですね。でも、留学したことで国内外に関係なくどこでも住める!という感覚が高まったので、東京以外のエリアに移住してもう一度リノベするのも楽しそうだなと思っています。もっと広い場所もいいですし、今度は床をモルタルじゃなくてテラコッタのタイルにするなどして、さらに遊んでみたいです。今回のリノベがあまりにも楽しかったので。思い切りだけは良いので2軒目もあるかもしれません(笑)。
——夢が広がりますね!今日はありがとうございました。
▷「リノベしてよかったことのひとつが、休日にソファでゴロゴロできること!」とのこと。最高ですね!
平米数としてはコンパクトなのに、ひとつの空間の中に多彩な表情があり、大型のソファやチェストも悠々と置かれた印象で、O様のスタイリングのセンスを随所に感じました。さりげなく飾られた食器や雑貨も楽しく、家全体での足し算と引き算のバランスが絶妙! きっと一朝一夕でのこの光景ではなく、多忙な中でもO様がDIYやインテリアを楽しんでいらっしゃる結果ゆえ。日々の暮らしを素敵にアップデートしていらっしゃることがうかがい知れました。
O様邸の画像をまとめてご覧になりたい方はこちらから(Pinterestのサイトへ移動します。)
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