趣味を楽しむ暮らし

緑に包まれるグリーンサムの家

一人暮らし/40〜60㎡

旬なショップやレストランも多い半面、都心ながらも落ち着いた雰囲気で人気の代々木エリア。今回伺ったのは、ご近所の代々木公園にも負けないほど、豊かな緑に囲まれたマンションです。植物を育てることやDIYがお好きで、リノベーションも積極的に楽しまれたS様に、緑と暮らす家づくりのポイントや、お一人暮らしならではのこだわりを伺いました。

Profile
  • S様邸@代々木公園
  • 30代男性/50.66㎡
  • 2017年9月竣工
物件探しからはじまるリノベーション

内見時には、浴室から点検口を開けて天井がどこまで高くできそうかを確認したり、壁を叩いて状態を見たりと、住人の方がいらしてもていねいに確認をしてくださるのは助かりました。他の不動産屋さんではやってくれなかったことなので、「こういうところまで見るんだ!」と驚きました。

— Before After 平面図

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立地の良さと緑の多さにひと目ぼれ

インタビュー

▷左は設計を担当してEcoDecoの齋藤。スキップフロアに腰掛けながら、会話が弾みます。

ー お部屋の中にたくさんのグリーンがあるんですね!

S様:5年くらい前から植物を育て始めて、少しずつ増えてきましたね。だんだん植物を育てる心の余裕ができてきたのかもしれないです(笑)。ベッドサイドにある細いパキラが一番古いです。

ー 何かきっかけがあったのでしょうか。

S様:明確なきっかけはないんですが、あらためて考えてみると、祖父が植物園というか園芸店を営んでいたり、実家の両親も植物が好きで畑を耕したりしているんですよね。

ー 植物が身近な環境でいらしたんですね。

齋藤:お引っ越し直後に伺った時はもっと植物がいっぱいで、森の中で暮らしていらっしゃる感じがしました(笑)。

S様:数は減っていないんですが、配置を変えて雰囲気が変わったのかもしれません。

リビング

ー お部屋だけでなく、駅からの道中やマンションの敷地内もとても緑が多いですね。そうした部分も気に入ってこのマンションに決めたのでしょうか?

S様:そうですね。将来的には貸すことも考えたいと思っているので、立地も重視した部分でした。代々木公園や代々木八幡近辺は通勤にも便利ですし、落ち着いていて少し洒落た雰囲気もあるので、このあたりで探していました。

ー なるほど。リノベーションマンションにされた理由は何でしょうか?

S様:以前住んでいた賃貸マンションに収納が全くなかったので、自分で棚を作ってみたことがあったんです。2×4材を買ってきて、突っ張りのようにして棚を作ってそこに仕切りを増やしたりして。その時に、どんなモノを作ろうかと考えることも、作る作業も好きだと気づき、DIYを楽しむようになりました。それと、父からマンション購入を勧められていたのもあって、リノベーションできるマンションなら、その両方が叶うなと思うようになりました。そこからリノベーションについて調べようとして、最初に『中古を買って、リノベーション。』を読んだのがEcoDecoを知ったきっかけでした。

ー そうだったんですね。他の会社と比較されたりはしなかったんですか?

S様:物件探しの段階で、EcoDecoさんと並行して他の不動産会社さんと内見をしましたが、リノベーションに向いている物件を紹介されることは少なくて。リノベーション済みの物件を紹介してくれたことはあるんですが、それをもう一回壊して自分好みに作るのは割高ですしね。そのうち、場所の違いはあるけれど、中身の違いはあんまりないなと思うようになりました。この部屋のように木をふんだんに使っているマンションはなかなかありませんし、キッチンはシステムキッチンばかりですし…。それで、自由にリノベーションができる古い物件をEcoDecoの(リノベーションコーディーネーター担当の)谷口さんと探し始めた時に、この部屋に出会いました。

植物のお手入れ

ー 内見当時はまだ前のオーナーのご家族がお住まいだったんですよね。

S様:そうですね。浴室から点検口を開けて天井がどこまで高くできそうかを確認したり、壁を叩いて状態を見たりと、住人の方がいらしてもていねいに確認をしてくださるのは助かりました。そうしたリノベーション観点でのチェックは、他の不動産屋さんではやってくれなかったことなので、谷口さんと回った時に「こういうところまで見るんだ!」と驚きました。

光の入らない家をどうやって明るく開放的にする?

小窓からキッチン

▷室内に小窓を設け、LDK側からの光が玄関まで届くようにしました。これも、工夫の一つです。

ー 内見をした時点でお部屋のイメージはあったのでしょうか?

S様:うーん(笑)。実は、部屋がけっこう仕切られていて光が入らない部分も多かったので、部屋の中の印象はそんなによくはなくて。

ビフォー
ビフォー

齋藤:今は全体に光が入りますが、キッチンや水周りはすべて暗かったですよね。最初に「明るくて開放的で風も抜ける家」というオーダーをいただいたのですが、現状を見に行った時に「この家でか…」と(笑)。

S様:誰でもそうだとは思うんですが(笑)、植物のことを考えても、やっぱり明るい部屋がよくて。

リビング

▷過去のお部屋の様子が全く想像できないほど明るく開放感があるお部屋になりました。

ー そこをどんな風に光をとっていったんですか?

齋藤:あまり個室を作らず、キッチンや寝室も壁を立てるんじゃなくて、別の方法で仕切るように考えました。

ー たしかに完全に壁で仕切っているような場所はないですね。

S様:お風呂にガラス窓を設けたのも、開放感を出したかったのと光が入るようにしたかったからです。リビングにシーリングファンをつけて、室内に風が流れるようにしたのもよかったですね。植物って適度に空気を当てないと虫がついちゃうので。

齋藤:植物のために空気を攪拌させるシーリングファンをつけられたのですが、人にとっても快適なんですよね。

S様:そうですね、1年中つけていますよ。

ほうきで毎日掃き掃除をするのが心地いい

リビングダイニング

▷キッチンから見た部屋全体。来客は多くないとおっしゃっていましたが、おもてなしもしやすそうな間取りです。

ー リビングの床材は何を使っていらっしゃるんですか?

齋藤:サクラです。最初はアメリカンブラックチェリー材を予定してたんですが、予算調整の結果、少し価格を抑えたサクラの無垢材に決まりました。ちょっと濃いオレンジ色っぽくなるような、ムラがあるような床材です。メンテナンスをしながら使うものや、素材感や経年変化を楽しめるものがお好きということで、床に限らず、棚板やもともとお持ちの照明など、木材をたくさん使った家になりました。

S様:特別意識はしていないんですが、木や革といった自然のものが好きで、素材感があるものに弱いです(笑)。持ち物もヌメ革とか日焼けしていくものが好きだったり。シンプルで質のいいものを長く使いたいという思いがありますね。

ー ご自分で床のメンテナンスもされているんですか?

フローリング


S様:引っ越す前にオイルを塗ったくらいで特別なことはしていません。ただ、シュロのほうきを買いました。これで掃くと多少ワックス効果があるらしくて。それでできるだけ毎日掃くくらいですね。掃き掃除をしている感覚が気持ちいいというか、なんとなく好きなんですよ。

ー 心が整う感じでしょうか。

S様:それもあるかもしれません。以前、3泊4日くらいで京都に座禅体験をしに行ったことがあったんですが、座禅だけじゃなくて朝は掃除をするんです。その時に久しぶりに掃き掃除をやって、なんかいいなと思ったことも影響しているかもしれません。

齋藤:そういえば、冬にS様から「掃き掃除をしていたらどんどんゴミがなくなっていくんです」ってメールをいただいたことがありましたよね。無垢材って冬は木が収縮して隙間ができるのですが、そうした素材本来の性質も含めてお好きだとおっしゃっていましたね。

S様:部屋の奥から履いて土間まで来たら集めたゴミをまとめようとするんですが、その間にほとんどなくなってしまう。「ゴミがほとんど出ないなぁ」って最初は思っていました(笑)。

DIYやショールーム巡りでリノベを積極的に楽しむ

掘り込み棚

▷寝室のベッドサイドにある壁の一部には彫り込みがあり、リラックスタイムに読む漫画本がずらり。オンとオフを切り替える場所なのかもしれません。

ー ご自身でDIYをされたのはどの部分ですか?

S様:壁の漆喰は自分で塗りました。養生からやってさらに2回塗りにしたので、けっこう時間がかかりましたね。

齋藤:お引き渡しの3週間くらい前に、エアコンを取り付ける場所だけ事前に塗っておいて、あとはお引き渡し後に塗りましょうというお話でしたが、結局そのまま毎週末塗られていましたよね。

S様:引き渡し前には塗り終わりましたね。実際にやってみると、壁とか広い部分は楽なんですが、洗面所のミラーと壁の間とか、細かい部分がけっこう大変でした。職人さんが高い理由はよくわかりました(笑)。

自分でやると愛着も湧きますし、小さな修繕は自分で気軽にできるようになるのもいいですよね。

土間

▷手前のスツールがS様自作のもの。角のRも綺麗で、DIYとは気づかないクオリティでした。

玄関ホール

▷玄関ホールから見た室内。光が程よく入ってくる明るいお部屋です。

S様:できるところは自分で作業しようという思いがありましたので、フローリングや棚板のオイル塗装もDIYで仕上げました。そういえば、洗面所にあるスツールは自分で作ったものです。都立大学にDIY好きのための「Maker’s Base」という工房があるんですよ。そこのワークショップに参加して、2日かけてスツール作りをしました。カンナがけをしたり、細かく角度を出したりと時間はかかりましたが、わりとしっかりとしたものが作れましたね。玄関の開口部に置いてある仏像もそこで彫ったんですよ。木を掘ったり、ほうきをかけたり、職人のように何かを無心でやる行為が好きなんだと思います。芸術やデザインの世界にも憧れがありますし、ものづくりはずっと好きなことのひとつですね。

齋藤:DIYをされるだけじゃなく、ショールームにもあちこち見に行かれて、検討してくださいましたよね。

S様:サンワカンパニーのショールームや新宿のOZONEに行きましたが、どこもおもしろかったです。この部屋の漆喰は、大きなサンプルを見るために大宮のショールームまで行きました。

ー リノベーションを楽しんでいらっしゃった様子が伝わってきますね。

和にも洋にも自由に使えるスキップフロア

寝室,スキップフロア

お部屋の中でのいちばんこだわったのはどこですか?

S様:寝室になっているスッキプフロアですね。

齋藤:最初は寝室部分だけに少し高さをつけて仕切る小上がり仕様の案でしたが、寝室にプラスして植物を置いたり座ったりもできる場所にしたいというお話しで。「リビングが狭くなるのは大丈夫ですか?」と確認しつつも、小上がりがどんどん大きくなって、もうスキップフロアだなと(笑)。それと、やっぱり植物の手入れをするためには、バルコニーの手前に土間も必要で。限られた50平米の中で、リビング、小上がり、土間、収納、キッチンとそれぞれのスペースに対して必要な広さを確保しつつ、配分を整理してバランスを取っていきましたね。

ー なるほど。天井の高さと、小上がりからの視界の抜けは、広さを感じますよね。実際に住んでみてはどうですか?

寝室


S様:狭さは全然感じませんね。ベッドで寝転びながら部屋を見渡すのがいちばん広い感じがします。手すり部分には今は植物を置いていますが、小さいテーブルがあればそこでも仕事ができたり作業ができたりというのもいいですし、座布団を敷くのもいいかなと思っています。

ー 今は洋な雰囲気ですが、和モダンなテイストにもなりそうなスペースですね。

S様:どっちも好きなんです。足を出して座るのもいいですよね。

齋藤:床を上げることで、ベッドの横の窓の高さが床に対してかなり低い位置になることも、和を感じさせる理由かもしれません。あと、リビングやスキップフロアから見ても、キッチンまでじゃなくてその奥の水回りまで視線が抜けるように設計しました。

ー なるほど。玄関もたっぷりと広い印象ですね。

齋藤:「玄関は家の顔」とS様がおっしゃっていたので、横幅を取れない分奥行きを取って、壁に開口部を設けることでリビング側からの光を採っています。

キッチン


ー 造作のキッチンは扉が少なくて全体的にオープンなんですね。

S様:狭いのであれこれできるわけではありませんし、扉をつけると予算オーバーになるというのもありましたが、やっぱりシンプルにしたいというのが一番でした。

齋藤:とはいってもカウンター側と壁側合わせて3.6m分の幅がありますし、実はけっこう充実しています。プランを検討している時に、壁付けにしてもう少しコンパクトにするプランもありましたが、そうするとキッチンが浴室やトイレに行くための通路になってしまう。そうではなく、やっぱりキッチンはキッチンとして、きちんと場所を設けましょうという話になりましたよね。

S様:キッチンの壁面の出っ張っているところは、写真集を見て「こういう感じがいいです」と相談しました。

齋藤:その写真集に載っていたのが、コンクリートがそのままニョキっと出てきたみたいな雰囲気だったので、白い壁がそのまま出てきたような凸を作りました。実は木でできているんですよ。用途としては棚なのですが、異様に厚みがあって、一見なんだか分からないような雰囲気になればいいなと。

洗面所
靴棚

S様:厚さがあるのがいいですよね。あんまり色をたくさん使わず、かたちやサイズで変化をつけるようにしました。キッチンのタイルも最初はサブウェイタイルのようなものを想定していましたが、最終的に色はシンプルに白としながら、サイズが特徴的な細長いタイルを選びました。

ー ひとつひとつ丁寧に選んでいらっしゃるんですね。

S様:リノベーションは、こだわりがある人のための選択肢だと思います。例えば、一つ一つのパーツ選びを楽しむこともリノベーションの醍醐味だと思いますから。

齋藤:すごくエネルギーをかけてくださいました。

S様:週末はほとんどずっとやってましたね(笑)

ー それだけ楽しんでくださっていたということですね。

今後の暮らしのイメージ

けんすい棒


ー 今後お部屋をこうしていきたいというのはありますか?

S様:やりたいことはたくさんあります。今は、木製のプランターをいろいろ置いているんですけど、その数を増やして目隠しにするかどうかを悩んでいるところです。ベランダに小さいテーブルと椅子を置いて、七輪を楽しみたいなとも思っています。

ー ウッドデッキを引いていると、バルコニーがお部屋の延長みたいに見えて全体も広く見えますね。

S様:バルコニーのほうがリビングよりも一段下がっているので、ウッドデッキをもっと高さのあるものに変えるのもいいかなと思っています。そうすれば高さが揃ってさらにリビングの延長のように見えるのかなと。 いろいろベランダは工夫したい場所ですね。

洗濯ハンガー


ー 掃き出し窓の上にあるポールはグリーンを掛けたりするんですか?

S様:たまに引っ掛けたり懸垂もしたりしていますが、洗濯物を干すことが多いですね。

ー あの丸いフックは何ですか?

S様:ハンモック用で、これから使おうとしています。

ー 一見シンプルに見えて部屋のあちらこちらにいろいろな要素が詰まっているんですね!収納スペースもたくさんありますよね。

引き出し


S様:スキップフロアの下の引き出しはけっこう奥行きがあります。これがなかったら、モノが収まりきらなかったでしょうね。手前の引き出しだけではなく、ウォークインクローゼット側の床下収納も奥行きがあるので、ゴルフバッグやスーツケースなど、大きなモノはここに入れています。他にも玄関の上やキッチンにもまだ使いこなせていないスペースがあるので、棚を自作したり、少しずつ整理しながらもっとかっこよくしていきたいなと思っています。

まとめ

植物の世話をしながら、自分好みのDIYもマイペースに楽しんでいらっしゃったS様。ゆくゆくは住み替えも考えているそうで、次回もリノベーションにチャレンジしたいとのことでした。「こういうことをやってみたい」「こういうことが憧れです」と、いろいろなアイデアを話してくださり、自分が何を心地よいと思うのかをわかっていらっしゃるからこそ、それらを具現化し日々を楽しんでいらっしゃるのだなと思いました。素敵なお部屋にお邪魔させていただき、ありがとうございました。

 

↓S様邸@代々木公園の画像をまとめてご覧になりたい方はこちらから(Pinterestのサイトへ移動します。)

担当者コメント

saito270

50㎡で窓2箇所、大きな梁の条件で、面積以上の広さを感じることができるような、プラン、構成、関係性を考えました。また、S様のイメージする「明るく」「風通しの良い」「グリーンに囲まれた生活」は植物が配置されることは勿論、開放的である一方で木陰の心地よさのような落ち着きのある居場所でもあるととらえて、寛ぎのよりどころとなるような内容をS様と一緒に検討を重ねました。生活の仕方も多趣味なS様らしく様々工夫があり、素材の経年変化と共に更に味わいのある住まいとなっていくのではないでしょうか。

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